【過去編】サボの死�� ページ34
「サボ、サボ…」
何度そう呟いたか。
見えないものを探して聞こえないものを求めた。
AC「A」
サボからの手紙を読んだらしいエースが目元を腫らして帰ってきた。
部屋の隅で小さくなる私の隣に座る。
「エース…」
後悔しかない。
一番、側にいたい時にいれなかった。
「私、熱なんか出さなきゃ良かった…」
AC「…」
「エースもルフィも怪我したのに、サボいなくなったのに…」
AC「A…」
初めて実感した。
何かが切れたように我慢してた涙が溢れ出る。
「大事な時に、何も出来なかった…！」
どうして、サボなの。
私だったらよかったのに。
「死にたい…！！」
心のどこかで思ってた。
大事な人はずっと生きているんだって。
願わなくてもずっと側にいると。
そう信じて疑わなかった。
AC「…ッ馬鹿な事言ってんじゃねェ！」
「…っい！？」
急に頭を殴られた。
殴られた場所を押さえてエースを見ると鋭い目で私を睨んでいて。
AC「サボがそれで喜ぶわけねェだろ！！」
「…っ」
AC「嘘でも死にてェなんて言うな！」
自分は生きてていいかなんて考えるくせに。
なんで私の事だけ怒るのよ。
AC「次言ったらぶっ飛ばすからな」
「〜〜っうるさい！エースに言われたくない！」
トンッとエースの体を叩くとそのまま抱きしめられた。
AC「…お前たちは俺が守る」
「…な、んで」
AC「サボに頼まれてるんだ」
優しい声に余計に涙が出る。
サボ、サボ…
AC「お前が死にたくても俺が死なせねェ」
「…っわああん！ごめんなさい〜！」
ぎゅうっと力強くエースを抱きしめると普段は怒るくせに今日だけは抱きしめ返してくれた。
幸せが永遠じゃない事を、失う辛さを。
初めて知った日。
だから決めたんだ。
命に変えても大切な人達を守るって。
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作者名：ちいず 。 | 作成日時：2020年8月21日 23時
