【鬼滅の刃】透明な質問に、どうか答えを。

い ページ11

屋上に着くと、重たい腰を下ろした。




あの日、君がいなくなる前日、二人でここに座っていたのに。




それさえ夢だったのかと、ふと怖くなる。




そう思い足元に視線を落とすと、何かが僕のポケットから落ちた。




君が作った、不格好な折り鶴だった。




その鶴に手を伸ばした時、風が吹いた。




聞こえた。確かに聞こえた。




君の、君の声が。




『生きて。時透くん、ありがとう』




何が生きて、だ。




君は死んじゃったくせに。




僕の前から消えてしまったくせに。




＿＿＿＿＿でも。




僕は、忘れないよ。




君の屈託のない笑顔も。あの儚げな表情も。風に髪がなびく姿も。




全部全部。




明日も。明後日も。一年後も。十年後も。




死ぬまで。死んでも忘れない。




嗚呼。そうだ。




今、解(わか)った。




見えない、透明な質問の答えが。




忘れなければいいんだ。




そうだ。僕が忘れなければ。




君はずっと僕の心(ここ)にいる。




君は僕の中で生き続けるから。




これはただの自己満足かもしれない。




僕が僕自身を救うための、ただの言い聞かせかもしれない。




そうだとしても。






．






．






．







「A、僕は忘れないよ」





少年は、空に向かって呟いた。





そのすぐ隣で、少女が笑っていた。

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