午前零時、星の降る夜茶会にて。【CSまとめ】

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【過去】
彼の両親は典型的な教育熱心な人物だった。自分達
が良い環境で学べ無かったことを悔やみ、せめて子
供だけはと思い、彼に様々な習い事に行かせ、他の
子に負けるなと知識を詰め込めさせた。そういった
過度な教育に耐えられたのは、彼がまだ強い向上心
を持ち、親に認められようとしたからだろう。幸い
彼は要領が良く柔軟な思考を持っていた為、与えら
れた課題を逃げずにこなすことができ、成績はどん
どん上がっていった。“常に一番”これが彼の普通で
あり日常、モットーでもあった。

そんな彼を羨み、妬む者も少なくなく、小学校に上
がる頃にはありもしない噂を流されたり、教科書を
隠されたり、無視したりなどなど。いわゆる集団イ
○メというものを受けるようになった。最初の頃は
相手にしなかった彼も、エスカレートしていくにつ
れ、どんどん心が荒んでいった。一応、親に相談し
助けを求めたが、両親は子供の心配よりも学校で問
題を起こせば、今まで完璧だった成績に傷がつくの
では無いかと心配をして、相談されるのを嫌がった
それどころか、イ○メられるのは自分に責任がある
と彼を叱る様に。結局、誰にも助けて貰えず中学校
に上がるまでイ○メは続いた。この出来事がきっか
けとなり、彼は感情を表情に出すことをやめた。出
したって変わらないと分かってしまったから。

こうして、寂しく辛い幼少期を彼が耐え抜けたのは
弟という存在がいたからだろう。彼が小三の時に弟
が産まれた。彼にとって初めて出来た守るべき大切
な存在。どんなに辛く、悲しく、苦しく、怖くても
弟が心の支えとなっていた。まぁ、あくまでその弟
が“才能を発揮するまでは”の話だが。

彼が才能を発揮し始めたのは小一の頃。人一倍言葉
を発するのが遅かった弟を心配した両親は、彼に与
えていた習い事や課題の量をさらに増やして弟に与
えたり、様々な検定を受けさせたりした。(この頃
に数検準一級を獲得し、周囲の大人を驚かせる事と
なる。)異常なスピードで成長していく弟に彼はだん
だんと追いつけなくなっていき、遂に弟が彼の成績
を抜きはじめた頃、彼の中にあった強い向上心が失
われつつあった。もちろん、弟も最初は彼と同じよ
うに集団イ○メを受けていたが、圧倒的な才能の前
では認めるしかなかったようで、徐々に収まってい
った。

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