340 ページ17
.
.
you side
【強い香水や、柔軟剤の香りに対する、香害が今、話題になっています】
テレビからはこんな原稿を喋る、アナウンサーの声が聞こえてきた。
【七瀬陸が言ったんでしょう？
なかなか勇気がないと言えないことだから、
人気商売なのに、偉いですよね】
【陸くんが困ってるって聞いて、私も気をつけなきゃって思いました！】
はぁ、これが俗に言う訴求力ってやつか〜なんて、天を仰ぎながら考えた。
一織「大丈夫ですか」
「訴求力のやばさを今実感してるとこ｣
一織「七瀬さんだけじゃありませんよ」
「どういうこと？」
一織「これ、見てください」
「ん？」
差し出されたスマホの画面を眺めると、綺麗なお姉さんが出てきた。
【サボンの香水や、ボディクリームを販売しているので、
店舗としての売上は前年度に比べて
倍以上と言ったところでしょうか。
巷で香害と少し話題になってるので心配していましたが、
そんな心配要らなかったです】
【柔らかな香りのディフューザーはすごく売れ行き好調ですね】
【逆に、甘めの香りのものは少し売上が停滞しています】
「……」
一織「あなたの発言にも訴求されている層は居るってことですよ」
「あの時、陸くんが香水が強い人が苦手って言った時、
なんか、やばって思ったんだよね」
一織「どうしてですか？」
「や、わかんないんだけど。危ないと思っちゃった。
こうなることが分かってたかのように。
アイドルだから、とかそんなん抜きにしてもさ、
自分の発言に責任を持つってしんどいよ。
思いもよらない発言が、思ってもないところで
影響力を発揮するんだから、ね。私なら、しんどくなっちゃう」
「はぁ……どうしたもんかな……」
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 360人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：り ん | 作成日時：2023年1月18日 12時
