私が髪を切った理由13 【アイナナ】

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sogo side

夢のような時間はあっという間に過ぎ去るもので、
今まで僕が見ていたものは幻なんじゃないかと思ってしまうほど
呆気なくエンディングを迎えてしまった。

見ていたステージが圧倒的すぎて、
レベルが高いものだったからこそ、
言葉にできない焦燥感が僕の胸に蔓延っている。

「今日は本当にありがとうございました〜！！！」

その声と共に頭を下げて、裏へとはけていくmoratorium達。

最後尾に居た鳴海さんが見えなくなったタイミングで、
【アンコール！】の声がどこからともなく聞こえてくる。

関係者席にいる。とかもうどうでも良くて、
ただ、もう一度moratoriumに会いたくて、
僕は一心不乱に「アンコール！」と叫んだ。

チラッと横を見ると、メンバーも、マネージャーも
TRIGGERも、ŹOOĻもRe:valeも声を上げていた。

すると、その声に応えるかのように会場の照明は暗くなった。

中央のステージに眩い照明が当たり、逆光によって
シルエットが映し出されるステージに目を向ける。

軽快なリズムのイントロが流れて、
5人のシルエットが1つの揺らぎもなく揃って見える。

(……すごい……)

在り来りな言葉しか出てこなかったけれど、本当にすごいと思った。

ミリ単位で合わせられたダンスに、
一人一人の個性を殺すのではなく生かし合う互いの個性。

moratoriumはこの5人でしか有り得ないということの証明だった。


会場にいる全員が期待に胸を躍らせて固唾を呑んだ音が聞こえた後、
Aちゃんのウィスパーボイスが会場に木霊した。


_________________________________"TOMBOY"







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