私が髪を切った理由13 【アイナナ】

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ten side

息をするのも、瞬きをするのも忘れてしまうような、夢のような空間。

楽「……すげぇ……」

「もっと声出せるでしょ〜！！！」

「「「きゃぁー！！！！！」」」

正直、他の4人のポテンシャルも高いと思う。
歌唱力の高い柊 瑠依に、独特な低音ボイスの立花 澪。
表現力の高い神楽 こころに、ダンサーレベルのダンス力を持った、
鳴海 詩。

他のグループなら絶対にセンターを張れる実力を持ち合わせているのに、そうなっていないのは、彼女たちがmoratoriumだからだろう。

moratoriumの魅力を最大限まで引き出せているのは、
そして、4人のメンバーの個性をより輝かせているのは、
センターが天馬 Aだから。

(……すごい……)

心臓まで震えるようなこの感覚。

圧倒的なエンターテインメントだった。

化物のようなステージ。

このライブのコンセプトにもなっている
"百鬼夜行"そのものがそこにはあった。

胸がいっぱいになって苦しくなる。
張り裂けそうになるほど、痛くなる。

もっと見ていたいと思うけれど、もう見たくないとも思う。

ずっと続いて欲しいと願う夢の時間は、
そう長くは続かないということ、僕は誰よりも知っていた。

目を瞑りたくなるほどの焦燥感が、僕の胸をいっぱいにして、
興奮の絶頂へと導いた。








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