【ヒロアカ】雨と淡赤と少しのお話【死柄木弔】 (ページ2)

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「怪我…？待って下さい、今救急車を＿＿」

男から滴り落ちるのは雨水と紅色の液体

死柄木「…呼ばなくて、いい…」

微かに聞こえたその人の声

冷たくて低い音

「…なら、少しここに座ってくれますか？」

相手が呼ばなくていいと言うなら呼ばない

でもこのまま見過ごすのも違う気がして

そっと彼の身体を支えベンチに座らせる

傘を立てかけ雨に当たらないようにすれば

自分の羽織っていた上着を彼の怪我の箇所に巻きつける

死柄木「…っ…」

「痛いですか…？やっぱり、病院に…」

死柄木「別に、いい…」

どくどくと流れる血

上着に血が滲む

心配になるもこれ以上自分には何も出来ない

何も出来ないならこの場にいても無駄だ

「…私、失礼しますね。帰り…お気をつけて」

なら帰るしか選択肢はなかった

いや、勿論心配だし

本当なら病院に連れていくべきなんだろう

でも生憎自分には手持ちがない
それに相手が嫌がるなら無理強いは出来ないし

すっかり自分もずぶ濡れだ

むずむずとした心境の中、

ぺこりと彼に頭を下げれば駆け足で帰路へとついた