彼はただの同居人《Ren.M》Part3

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輪投げでの失敗を胸に満を持して挑んだスーパーボールすくい。


たかが文化祭の催し物ではあるけど、


なんかここへ来て変なやる気が湧いて来たんだ。




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ここのエリアではスーパーボールを1個でも


取れればクリアとなるみたい。




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今度こそ！


やる気に満ち溢れた私を


翔太が後ろから不安がるように見つめる。




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今回は大丈夫、落ち着いてやればきっと出来る…！




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絶対に成功してやる、なんて意気込んでいたものの




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『あー、残念！あと2回です！彼女さん頑張って！』




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『あと1回ですぅ！ファイト！』




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なかなか上手くは行かずに、


あっという間にポイは残り1つになっていた。




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渡 「…あんな、お前は掬い方が雑なんだって、貸してみ？」




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見かねた翔太が私の手元からポイを取り、




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渡 「水に触れないようになるべく水平に、こう動かすの」


あ 「やってるもん！」


渡 「お前はなんでも適当なんだって、」




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あ 「なっ、」


渡 「…まーこれでやってみ？頑張って」




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翔太から手渡されたポイ。




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翔太の言う通り、1・2回目よりもなるべくポイを水平に、水に触れないようにそのままゆっくりと掬い上げた。




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っと、




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あ 「…やった！取れた！」




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なんとか1個のスーパーボールを取ることに成功した。




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『おめでとうございますー！大成功ですね！彼氏さんのアドバイスが効きましたね！』




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翔太の方を振り向いて、取れたよ！なんてガッツポーズをして見せると、


『やれば出来んじゃん』


彼は口パクで、爽やかな笑顔で微笑んだ。




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その笑顔から連想したもの。それは…




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あ 「っ、」




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今…




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どうして今更、


翔太の笑顔が蓮くんの笑顔と重なったのだろうか。




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