彼はただの同居人《Ren.M》Part3

＊97 W.Side ページ17

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放課後。文化祭の準備を早めに切り上げて、俺は部活に顔を出すことに決めた。


なんでかってそれは、


なんせ同じ部活の佐久間やふっかから




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深澤やっほ!ねえ、なべ、死んでないよね?平気?









佐久間翔太!もう大丈夫なんでやんすかー?




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そんなLINEが…


昨日は無視したんだけどさ、その後も立て続けにふざけたスタンプが送りつけられてくるもんで。


さずかに顔出さないことには終わんないって思ったから、




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まあ、コイツらなりに心配してくれてるっていうのは分かるけど。




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渡 「…大げさだっつーの」




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俺が体調悪かったのは事実ではある。




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グラウンドまで向かう道中、


昨日の出来事を思い出してつい胸が熱くなる。




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俺は昨日、Aにキスをした。


その時触れ合った唇の感触。


柔らかくて、あったかくて、幸せだった。




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ずっと近くに感じたかった温もり。やっと、近くに感じれた。




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俺ってズルい、よな…？


弱っている俺ならAでも


受け入れてくれるかもって、




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今までずっと隠していた自分の気持ち。


包み隠さず全て吐き出したんだ。


これ以上は無理だって、そう思ったから、




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だから言った。




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ねえ、A。




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好きって言って、俺のこと男として見てって言って、Aのこと混乱させちゃった…？


でも逆にそうなってくれてたら嬉しいなって。


だってそれって、少しでも俺のこと意識してくれてるってことになるじゃん？




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佐 「あー！翔太！」


深 「…なべぇぇえ！お前、大丈夫なのー？」




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ああ、相変わらずうっざいなぁ。




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つか、またコイツら、部活サボってる。


全然練習してる様子なんかねえし…




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ほんと、何やってんだか。




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渡 「…っ」




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佐久間と深澤のすぐ傍で一人、


サッカーボールと向き合う目黒の姿があった。




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渡 「目黒…」




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この距離からならきっと俺の声は聞こえるだろう。


目黒には聞こえないように


小さい声で心で呟くように彼の名前を呼ぶ。




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だって、目黒は何も知らないんだろ…？




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Aの気持ちも、


昨日、俺とAの間に何があったかってことも。




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