彼はただの同居人《Ren.M》Part3

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私の隣に屈んだ彼は、真っ直ぐな瞳で、ただ私を見つめて、


誰にも聞こえないように言った。




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渡 『昨日のことだけど…』




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あ 『…っ』




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渡 『あれ、嘘じゃないから…本心、だから…』




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曖昧な言葉ではあるけど、彼が言いたいのは


きっと昨日、彼自身が言っていた台詞なんだろう。




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『俺、Aのことが好き。好きなんだよ…』




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『A。これからは俺のこと、幼馴染じゃなくて、一人の男として見て、』




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分かりやすくぽわーんと熱くなっていく体温。


翔太らしくない甘い言葉に、戸惑いが隠せない。


そんな戸惑う私に気付いた翔太は余裕そうな笑顔を浮かべながら、ただ自分の席へと戻るだけだった。




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本当慣れなくて、気が狂っちゃうな。




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紗 「今年はお化け屋敷やるクラス少ないのねー」




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紗 「文化祭の後ってさ、一気にカップル増えるからなんか嫌だよね。はあ。私も青春したい〜！」




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お弁当も食べ終わり、


今日の朝、ホームルームでもらった今年の文化祭のパンフレットに目を通しながら談笑を交わす。




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いいなぁ。紗英はなんだか楽しそうで…


私は本当にもういっぱいいっぱいで、




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正直文化祭どころじゃないよ、




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紗 「…えっ！えっ！」




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そんな最中、突如声を上げた紗英。




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あ 「どーしたの。一旦落ち着いて、」


紗 「だ、だ、だってぇ！これ見てよ！隣のクラス、」




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露骨に顔を綻ばせながら私にパンフレットを差し出す紗英。




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隣のクラス、ということは…？


紗英がこうやって嬉しそうにはしゃぐのは大体蓮くん関連のことだから、多分。恐らく。




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紗 「目黒くんのクラスの出し物…」




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『執事カフェだってさー！』




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あ 「執事カフェ、」




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紗 「執事カフェってことは、ってことはー？その目黒くんも、執事の格好する、ってことだよね…！？」




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『絶対かっこいいじゃん！！』




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キャー、なんて、人目も忘れて騒ぎ出す紗英。




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そっか。文化祭の話なんて全然してなかったし


蓮くんのクラスが何をやるのかは私、知らなかった。




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蓮くんが執事、




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あ 「…っ」




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そんなの絶対かっこいいに決まってるじゃん。




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