彼はただの同居人《Ren.M》Part3

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やはり日曜日だ。


休日そして文化祭の《最終日》ということもあって昨日より一段と慌ただしく校内は大盛り上がりだった。


私は今日、午前が受付だから午後は自由に周れる身。




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あ 「もう交代の時間だ…」




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正直。文化祭を周る気にはさらさらなれない。


紗英は午後から受付があるから


一緒に周れる人も居ないし…




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どうせ次の子が嫌がってるなら


私が代わってあげても、




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そんな考えごとをして、俯けていた顔を上げた時だった。




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目の前には受付の机に


両手をついて私を見つめる翔太が居た。




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あ 「いつから居たの…？あっ！もしかして、また愚痴言いに来た、とか？ちゃんと仕事して下さい」


渡 「もう終わったしー。だって12時じゃん」




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ドヤり顔をした翔太は私に腕時計を見せつけてそんなことを言って来る。




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そっか。翔太も午後は周る人だったもんね、




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あ 「どこか周って来なよ。せっかくの文化祭なんだし…」


多くの声が行き交う中、お化け屋敷の


入場券をもぎりながらそんなことを呟く。




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渡 「言われなくてもそのつもり」




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翔太は私を見つめたまま、何も言葉を発さない。




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あ 「…あのー、何か？」




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やっと、彼が口を開いて、何を言うのかと思えば、




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渡 「だから、Aのこと待ってんじゃん。」




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私のことを待ってる？


それってどういう意味…？




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翔太は私の腕を掴んで、そして言った。




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渡 「…A、午後からフリーでしょ？だったら俺に付き合ってよ」




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渡 「一人じゃ楽しむにも楽しめなさそうだから。それに、文化祭は好きだって思う相手と一緒に周りたいじゃん、」




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『ほら、行くぞ』




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戸惑う私なんてなんのその。そのまま強引に私の腕を引っ張ると、二人して廊下を歩いて行く。


まるで無邪気な子供のように顔を綻ばせる翔太の後を必死でついて行った。




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とんだ計算違いだった。




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今日の文化祭も一人虚しく終わりを迎えるはずだったのに、




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渡 「…腹減らない？なんか食う？」


あ 「あっ、うん…？」


渡 「たこ焼きだって。あっ、甘いもんもあんじゃん、」




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『それに、文化祭は好きだって思う相手と一緒に周りたいじゃん、』




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その言葉は完全に不意打ち、だった。




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