君しか見えない (ページ7)

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腕を掴まれた瞬間、恐怖で動けなかった

？「とりあえず座りましょ」

そういうと彼はわたしの手を引っ張りベンチに座らせた

沈黙が気まずい…ベンチに座って数分経ったが彼はわたしが口を開こうとするまで何も話さない

このまま黙っておこうかと思ったけど少し話を聞いてほしいと思う自分がいた

「あの…初めて会う方にこういう話するのもどうかと思うんですが…」

？「うん。なんでも話して。話ぐらいは聞くから」

わたしが口を開かない間もずっと嫌な顔せず隣に座ってくれて、話してる時も目を見て真剣に話を聞いてくれた

父子家庭のこと

園田さんのこと

裏切られたこと

家に帰りたくないこと

気づけば全て彼に話してた

？「そっか…それは辛かったね…話してくれてありがとう」

「いえ、こちらこそ赤の他人の家庭事情を聞いてくれてありがとう…ございます…」

　
？「で、家には帰らないつもり？」

痛いところを突かれた

お父さんとちゃんと話がしたい

でも園田さんが絶対あの手この手を使って入り込んでくる

「今日は…帰らないです」

？「どうするつもり？行くとこあんの」

　

「それは…」

行くところあったらこんなとこいないでしょ

軽々しく問いかけてくる彼に少しイラッとした

？「うちくる？」