【アイナナ】(続) 敏腕マネージャー蓮くんのアイドル密着24時【男主】 (ページ7)

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蓮くんの誕生日後日談 1 ページ7

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蒼依蓮の誕生日前夜にて、天の携帯に着信が入った。

ーー未登録番号からだ。

画面には携帯番号だけが表示されており天は不審に思ったが、明日が想い人の誕生日だと記憶していた為、蓮の関係者からの着信だと妙な確信を持って応じた。

「…もしもし」

「九条君？急に悪いな。俺だよ俺」

聞き覚えのある声に内心ホッとする天だったが、このやり取りだけでは『オレオレ詐欺』と誤解されかねないやり取りだ。

だが相手は事務所の先輩であり、蓮の元相方なので心の内だけで留めておくが念には念を入れといて損はないと天は考える。

「……念の為聞きますけど、どなたですか」

「あっごめんごめん。元Ariesの紅城樹です。
蓮から予め聞いてたんだよ君の番号」

「何のために？」

「もし自分に何かあった時、代わりに世話して欲しいってあいつに頼まれてさ」

天は初耳だった。
守秘義務もそうだが、蓮がそこまでの事を想定して紅城に頼んでいた事など知る由もない。

普段からTRIGGERの為に激務をこなす蓮の後ろ姿を見続けてきて2年、少し考えれば蓮のしそうな事だと理解するのに時間はかからなかったが。

少し胸が暖かくなるのを感じながら天は「…それで」と紅城に用件を促した。

聞けば明日の蓮の誕生日にて、姉の蒼依咲羅がNYから帰国すると言う話だった。

チラチラと姉の話を蓮から伺っていた天だったが、実際に会うのは明日が初めて。

樹の計画ではまず、姉の登場はサプライズゲストとして扱いたいとの事。

蓮の父が手作りケーキを出してバースデーソングを紅城と天で歌い、蓮がロウソクの火を消すタイミングで背後にスタンバイすると言う、至ってシンプルな作戦。特に断る理由もないので二つ返事で承諾した。

さらに明日、蓮と共に実家に行く予定だが楽と龍はそれぞれの収録を終えてから行く予定らしく、地図を樹が2人に渡してくれるとの事。

明日の段取りは大体決まったので短い通話を終わらせ、テーブルに置いておいた小さな小包を手に取った。

中身は黒い石が埋め込まれたシンプルなピアス。自分用なんかではなく、もちろん送り主は明日の主役だ。

前に蓮が携帯でスクショしていた写真のピアスと同じ物で、彼がボソッと「……いいな」と呟いているのを天は聞き逃さなかった。

デジャヴを感じただろうか。
以前にも蓮は天の手作りご飯の何気ない発言を小耳に挟んで実行に移すタイプだ。

九条天と蒼依蓮は、相手のそう言う部分を互いに見逃さない。