085.「誕生日おめでとう」 ページ45
そんな風に言われたら断る男なんていない。
「………どうなっても知らないよ」
「俺、天の為に頑張るよ？……その前に、ハイ」
早速蓮くんの服をめくろうとした時に、緩く制止されボクの眼前にずいっと小綺麗な小包を渡された。
ボクは訳も分からずも小包を受け取り「開けてみて」と彼に言われ、恐る恐る飾り付けしているリボンを開かせる。手のひらサイズの小包を開けた時、ボクは声にならない動揺を隠せなかった。
「ーーーーッ！？」
「誕生日おめでとう、天」
小包の中身はシルバーでダイヤが散りばめられている太めの指輪だった。
まさかボクが蓮くんに渡すつもりで目を付けていた結婚指輪を本人から贈られるとは思わず、本当にびっくりして声にならなかった。
同じ物を贈ってくれるなんて……最早運命としか思えない。
「蓮くん、これ……」
「今日、天の誕生日だろ？デザインに一目惚れしてさ〜天につけていて欲しいなぁって。貸して」
指輪を持っていたボクの手から持っていき、右手を広げるように促される。
蓮くんは慈愛に満ちた優しい笑みでボクの手を取って、真っ直ぐ、ボクを見る。
「……改めて、誕生日おめでとう。
生まれてきてくれて、俺と出会ってくれて、本当にありがとう。
きっと生まれ変わっても、何度も、何度でも。
また天に恋するよ。
これからもずっと俺の隣で、俺の傍に居てください」
そしてボクの右手の薬指に指輪をはめた。
本当に嬉しくて、蓮くんがボクを好きになってくれて、ボクの事を好きだと言ってくれて、これ以上幸せな事はないんだと。そう思える位ボクの片想いは実ったんだと、改めて実感した。
「……ボクの方こそ、ボクの事を好きになってくれてありがとう。
これからも貴方の傍で、一緒に居させて下さい……」
「ははっ。俺が先にプロポーズしたのになんで天も逆プロポーズするのー？」
「本当はこの指輪を持ってボクからするつもりだったんだよ…」
「マジで！？」
どこまで気合うんだろうねー！あっぶねー抜かされる所だったわー、と無邪気に笑う彼にボクもつられて微笑む。
胸の奥底から今までの彼への愛情、恋情が溢れ出して蓮くんを優しく抱き締めた。彼もボクの背中に手を回して強く抱きしめ返す。
「これからボクだけの最高な恋人として、最高なビジネスパートナーとしても、ずっと一緒にいてね敏腕マネージャーさん」
「ふふ。こちらこそ、よろしくね。俺だけの蒼依天様？」
end.
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作者名：澪 | 作成日時：2016年9月23日 20時
