【アイナナ】(続) 敏腕マネージャー蓮くんのアイドル密着24時【男主】 (ページ33)

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073.「小悪魔天使枠」ページ33

「大人として一肌脱いだんだよ。
………ねえ、蓮くん？」

「「あぁ…………」」

「おい何ハモってんだてめえら」

余裕ぶる蓮くんの表情を崩してみたくてわざと生々しく言ってあげた。

蓮くんは面白いくらいこいつあり得ねえ……みたいな顔でボクの事を見てきた。
ホント、顔にそのまんま書いてあるよ。

「天、もう少し綺麗な言い方をしなさい」

「事実でしょ？」

「これ以上小悪魔天使枠からブレないでくれ」

「ファンの前じゃないし関係ない」

「はぁ…………」

蓮くんは明らかに疲れた顔して思いっきり溜息をついた。何その顔。萌える。(※変態です)

ボク達のやり取りを聞いていた楽は蓮くんに向かって言葉を発した。

「ガキ相手にしてて大変だな蓮さん」

「ただのクソガキなら良いんだけど、天はガキってゆーよりタチの悪い大人みたいだよ」

「ちょっと。2人して酷い言い草だね」

「まぁまぁ落ち着いて」

コレがいつものボク達のやり取り。
どことなく居心地が良くて安堵しているのは、絶対言わないけど。

そんな風に思いながら現場へ向かった。
アイドルとして切り替えないとね。

＊＊＊＊＊

「九条さーん！ちょっといいですか？」

「あ、はい」

現場入りすると、収録の打ち合わせとかの内容をマネージャーの蓮くんに通さずにボクに直接話す変なプロデューサーがいた。

順序違うし、そもそもボクに話しても蓮くんが判断する内容なのに変な人。

「で、CM挟んだあとにカンペでお知らせするのでその通りに……」

「CM後ですね。分かりました」

「あーー！それとですねぇ……」

蓮くんと一緒に行動しないと彼に口酸っぱく注意されるから手短に終わらせたいのに、なかなかこのプロデューサーは話を繋げてくる。
邪険にも出来ないし正直困っていると、無表情の蓮くんがスタスタとこっちに早足で向かってくる。

「僕、実は九条さんのファンなんすよ～～！
差し出がましいかもしれないんですけどサインお願いしてもいいですか？」

「…はい」

そう言ってプロデューサーはボクに色紙とペンを渡すタイミングで、ボクらの間に自然に割り入るのは蓮くん。

「重ね重ねすみません。
うちの天に何か御用です？」

「あっ、蒼依さん！」

「お世話になっております」

営業スマイルを貼り付ける蓮くんは誰から見てもニコニコとしている好青年だろう。

だけどボクには分かる。
今の蓮くんは頗る機嫌が悪いと言う事に。

……正直こういう時の蓮くんは誰よりも怖い。