【アイナナ】(続) 敏腕マネージャー蓮くんのアイドル密着24時【男主】 (ページ4)

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046.「復活アカペラライブ！！」ページ4

大事な人達に囲まれて盛大に祝われて。

幸せだなぁ。今なら死んでもいいとさえ思えるかも。

ーーーーな～んて思うのも束の間。

「せっかくだからAriesの2人で歌ってくれよ！！」

「あっそれいいなぁ！！今夜だけの復活アカペラライブ！！」

「はぁ？」

上から楽と龍が酒飲んでとんでもない事を煽ってきた。
酒癖の悪さに今は殺意しかねえぞ。

チラッといっき君に目線を送れば満更でもない顔をしている。

それを察したかどうか知らんが、咲羅と親父も期待したような顔でこちらを見て来た。

「確かにかつてのキラキラしていた2人をお父さんも見たいなぁ」

「お姉ちゃんも久々に2人が歌って踊るところ見たぁ～～い！なんならCD全部持ってるから流して歌って～～！！」

「よしきた！！お任せあれ！！」

「何勝手に言ってんだクソタラオが！！！」

咲羅に言われた途端クソタラオは咲羅の両手を握って頷いていた。

そして俺が無理無理！！と完全に拒否って樹を睨んでいると、今まで黙っていた天が一瞬ニヤリとしてすぐに眉尻を下げて大きな目を潤わせた。

「ボク、蓮くんの生歌聴いてみたいな。……ダメ？」

「ほら蓮、九条君にここまで言わせておいて男としてどうなんだよ」

こんのクソ野郎が！
まんまと天の演技に騙されやがって！

俺の指導の賜物で天は元々の素質も含め、メキメキと演技力に磨きを掛けた。

目をうるうるさせて俺の事を見る天。
そして周りの奴らの期待の目。

結果。俺はノリに乗った。

なんだかんだ俺はこいつらに甘いなと自覚しながら天達のリスクエスト曲を数曲披露する事に。

そして咲羅がCDをセットしイントロが流れ始めた瞬間、俺達はただの部屋の1室でも手を抜かずにステップを刻んだ。

最初は約4分半のバラード曲。

その曲は初めて自分達が作詞作曲した思い入れのある曲。
作詞俺、作曲は樹で作った曲。

……いつの日か、俺の家で天が聴いていた曲。

何度もライブで披露した歌を、今はたった5人の観衆の前で捧げる。

息を吸う。歌い出しは俺。

『思い切り抱き寄せられると
貴方で良かったと思えるの
飾らなくていい何もしなくていい
ただ傍にいたいだけ』

『言葉はいらないただ貴方が隣にいて
優しく微笑んでくれていたら
それだけで幸せなの
いつまでも貴方と共にいたい』

数年ぶりに樹と2人の歌を歌えば、閉じ込めていた気持ちが蘇ってくる。

ああ、俺やっぱり、歌うのが好きなんだと。