【アイナナ】(続) 敏腕マネージャー蓮くんのアイドル密着24時【男主】 (ページ25)

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065.「高いよ？」ページ25

2人でアイコンタクトを合わせてステップを刻む。

蓮は歌わないが、忠実に教えられた振りを身体に乗せて動かす。

俺ら “ Aries ” は主に息の合ったコンビネーション、ダンス、歌……
程よくバランスが取れた正統系王子様アイドルとして売っていた。

3年間のブランクがあれど、蓮は昔を彷彿とさせる華やかしさと色気、カリスマ性は健在だった。

やっぱり蓮と踊ると楽しい！！！

蓮の方に目線を移すと、あいつと目が合ってその表情からは楽しさを感じる。

やっぱりこいつ……歌うのも踊るのも好きなんだな。

俺らは一曲を歌って踊り終えると、レッスン場の端から歩いてくる人影……

「お疲れ様」

「天！いつの間に！？」

「曲の最初のイントロからずっと見てたよ」

「声掛けてくれれば良かったのに…」

「邪魔するのも悪いかなって。
蓮くん楽しそうだった」

「用があるなら良いんだよ？
どうでもいい練習に付き合ってやってるだけだから」

「ホント俺と九条君の差激しいよな…」

どうでもいいってお前！！
昔から俺より九条君の事ばっか優先しやがって！！
担当アイドルだとしても悲しいよ俺！！

そして話してて気付かなかったんだけど、九条君の手には大きめのハート形のピンクのうちわが……

「見て蓮くん。咲羅さんに作ってもらった」

「なんだコレは…………」

よくよく見ると表面には

『♡♡♡♡蓮 I LOVE YOU♡♡♡♡』

裏面には

『♡♡♡♡♡結婚して♡♡♡♡♡』

と分かりやすく書いてあった。

咲羅さんお手製のうちわをちゃっかり持参する九条君。……なんだろう、この2人すごく意気投合してる。

かなり複雑な俺。行き場のないモヤモヤ。
俺専用のうちわ作ってくれないかな………

俺が分かりやすく落ち込んでいると、蓮はおもむろに俺の肩に手を置いて「どんまい」と言われた。

いや、そんな風に言われても俺悲しいだけなんですけど。フォローされても虚しいだけなんですけど。
つーか蓮さん顔ニヤけてますけど。

………なんだよその顔！！！！
くっそムカつく顔しやがってっ！！！！

「ニヤてんじゃねー！！！
お前の写真を隠し撮りしてネットにさばいてやる！！！」

「ダメです。そんな事する前に隠し撮りしたものをボクに送って下さい」

「高いよ？」

「いくらでも買います」

「よっしゃ！交渉成立だな！」

「てめえら俺抜きで話進めんじゃねえよ！！！！！！」

「「え？」」

「ハモるな！！！！」

やっぱ九条君と付き合えて良かったね。