062.「もう逃さない」 ページ22
____本気なの?
「何その反応。冷静になって今自覚したの?」
「ち、違う!!いや違わない!!
でも好きなの!!」
「恋愛感情として?」
「そう!!!!!」
「ふぅん?」
「………あっ」
「ふふっ」
ボクは徐々に蓮くんに近づく。
お互いの鼻と鼻がくっ付きそうな程の至近距離で、お互いの目が合い、ボクは言った。
「ボクもずっと前から蓮くんの事が好きだよ」
それを聞いた蓮くんは口元を手で覆い、更に顔を赤くした。
彼が後ろに後ずさろうとした所にボクは彼の腰に手を回して、逃げ場を無くす。
「ダメ。もう逃さない」
「……っ」
蓮くんはかなり慌てた様子で、近づくボクの顔を手で弱めに押し返す。
その手をボクは舌で舐めると、びっくりしたのか蓮くんは「ちょっと……!」と声を上げる。
「て、天っ……ここ外だから……!」
「大丈夫、誰もいないよ」
「で、でも……」
「黙って」
手で押し返してくる蓮くんの手を優しく剥ぎ取って、彼の唇に何度目かのキスをした。
優しく唇を重ねて何度も角度を変えながら、薄く目を開かせると、彼はギュッと目を閉じて真っ赤にさせている。
唇を離すと酸欠になったのか、肩で息する蓮くん。
もう本当に可愛すぎて__
「押し倒して【ピーー】したい」
「ばっ!本音は心の内だけに留めとけ!!」
「はぁ。またそうやってはぐらかすんだね」
「お前のは突っ込まなきゃただの下ネタ!」
なにそれ。本音なんだから別にいいじゃん。
ボク蓮くんと違って若いし。
ただ、それよりも……
「ねぇ、これ夢じゃないよね?」
「当たり前だろ!!夢だったら最悪!!
俺の勇気を返してくれ!!」
「ふふ。すっごく幸せ……」
まだ人が通る時間帯にも関わらず、ボクは蓮くんを抱き締めた。
抱き締めた感触は相変わらずボクより華奢で細くて、身長も2センチしか変わらない、ボクの愛しい人。
顔立ちが綺麗で優しくて明るくて自己犠牲の塊のような、とても凛とした人が……今、ボクの腕の中で恥ずかしがってされるがままになってる。
ずっとずっと待ち望んでいた未来が、今この瞬間で叶ったんだ。
「蓮くん大好き。ずっとずっと好き」
「……ん」
「蓮くんは?」
「……」
そっと顔色を伺ってみると、相変わらず顔は赤いままで、目を鋭く細めてボクを見る。
「俺も……好き」
「ふふ」
つい、微笑んでしまった。
蓮くんは笑うボクを見て睨む。
その顔……恥ずかしいんだね。
そんなあなたが好き。
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作者名:澪 | 作成日時:2016年9月23日 20時