051.「オカン」 ページ11
「異色なメンツで何してるんですか」
「あなた方グループ代表のオカンが俺のシワを伸ばしています」
「オカンですか……？」
「ぶっ……」
なんだ壮五その顔。顔一気に青ざめてない？
環なんて笑いを堪えて俯いてるし、何にも面白い事言ってねーぞ。
俺は訳も分からず一織に目で助けを求めるとはぁ、とため息をつかれた。
「あなたのその鈍感さは狂気ですよ」
「は？」
やれやれ、と言わんばかりに一織は手を止めた壮五に声を掛けている。
はぁ？なんだよこの扱いは！
一織とはそんなに深い話した事ないのに、なんでこんな小バカにされなきゃなんないの！
だがそれを口に出したら大人気ないし、何となく一織に「大人気ない大人ですね」とか言われそうなので黙っておく。僕大人なんで！！！！
とりあえず煙草が吸いたくてしょうがなかったので、煙草とハンカチを同時に出しながら無言でその場から立ち去る。
つっても今話してた場所から数歩歩けば喫煙所なんだけどね〜。
喫煙所に入った途端に「あっ！」って声に反応して、後ろを振り返ると一織がびっくりしたような顔で口元を手で押さえていた。
なんだよ、なんか付いてんのか？
自分の着ているスーツを見てみるけど特に変わった様子が見受けられず、再度一織を見ると何かに指を指していた。
指した方向へ目で辿れば俺の手に持っているピンクのネコ柄のハンカチ。
これを無言で一織の前に突き出してみると「そ、それ……」と指を指したままそれ以上何も言わない。
「これがどうかした？」
「何故、その様なハンカチを持っているんです？」
「えぇ？別に…貰い物だけど」
「随分可愛らしいハンカチを貰ったんですね」
「まぁー姉貴の嫌がらせでね」
「そうですか…」
おい一織なんだその顔。
若干物欲しそうな顔してるのは気のせいか？
「欲しいの？」
「べっ別に欲しくなんかありません！」
「あーそう」
そりゃこんなファンシーな物欲しいとか思わないか。変な勘違いしちゃったわ。
ふとMEZZO”の2人を見てみると、何やら壮五が環に怒っているようだ。
環はあんまり聞いてなさそうだけど。
俺は今度こそ喫煙所に入って煙草に火を点けた。また天に怒られるだろうけどまぁいっか。
そして煙草を吸って煙を吐くとふと蘇る。
なんか最近……何しても天の事考える時間が増えたなぁ。
隙あれば、頭の中で天の事ばっかり考えては掠れるんだ。
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作者名：澪 | 作成日時：2016年9月23日 20時
