044.「まじぃ?」 ページ2
塞がれてた視界が晴れたと思ったら、いきなり抱きつかれて座っていた椅子から真後ろに仰け反った。
おかげで頭から腰までを強打して、声にならない悲鳴を上げてしまう。
俺が悲痛に苦しんでいてもこいつは嬉々として一向に離れてくれないし。
「れ〜〜ん〜〜!!会いたかったぁ〜〜!!」
「わかった、わかったから一旦退けよ咲羅!」
「ちぇ、相変わらず冷たいのね……」
ぶつぶつ文句を言いながら俺から離れる女。
こいつが俺の姉貴の咲羅だ。
数年ぶりに会ったけど相変わらず変わっていないらしい。
「お前よく帰って来れたな」
「実は来月から日本勤務が決まったのよ!
これで外国の美味しくないご飯からおさらば出来るわ〜〜」
「まじぃ?」
「何よ。嫌そうね」
思いっきり顔を顰めてボソッと言ってしまった。
頼むからこれ以上俺の気苦労を増やさないでくれ……
視界の端でうずうずしていた樹が頬を染めながら咲羅に声を掛けた。
「お久しぶりです咲羅さん!!お元気そうで!!」
「いっき!!久しぶりぃ〜〜!!あなたソロで頑張ってるみたいね!!あっちでも有名だよ〜!!」
「えっマジすか!?咲羅さんの耳まで届いてるなんて頑張った甲斐があった……!」
「“ 正統派イケメン ”だってさ!!さすが蓮と組んでただけあるわよね〜」
こんなに背も大きくなっちゃってさ〜と言いつつ、樹の頭を撫でる咲羅。
毎回思うんだけどこいつ狙ってんのかな。樹はそれやられるたんび顔真っ赤なんだけど。いい加減樹の気持ちに気付いてやれよ。12年だぞ?
そして後ろにいた天が俺の袖を軽く引っ張って来て、耳元で「もしかしてお姉さん……?」と尋ねてくる。あーそうだったね。
「あのさ、咲羅に紹介したい子がいるんだ」
「えっなになにー?」
樹と喋っていた咲羅がこっちにクルッと身体を向けると、俺の背後にいた天を前に突き出して紹介した。
「こちら大好きなTRIGGERの九条天。ずっと会いたかったんだろ」
「初めまして。九条天です」
「え、あっ、えーーーーーー!!!!!
本物!?蓮が担当してるあの九条天くん!?」
咲羅はこっちに早足で向かって来ては、無理矢理天の手を取って両手に包んだ。
顔ちっちゃーーい!肌しろーーい!お人形さんみたーーい!!生で見るとすっごい美少年ねー!!!などとめっちゃ騒いでる。
……マジでハイテンション過ぎて天も困惑してる。
俺は恥ずかしくて居た堪れない気持ちだ。
045.「さすが現代の天使…!!」→←000.《設定》▼人物紹介
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作者名:澪 | 作成日時:2016年9月23日 20時