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040.「な、何がだ」 ページ42

国木田さんの話はこうだった。

俺はマフィア幹部、中原中也の暗殺を妨害した功績に依り、社長が探偵社員に相応しいと太鼓判を押してくれたのだと云う。目出度く身体を張った甲斐が有ったと云う訳だ。

評価されて嬉しい気持ちは勿論有るが、そんな事より気掛かりだったのは、一度も国木田さんが俺と目を合わせない件。

諸々を思い出せば此の人は、最初から俺を見る時同情する様な表情でーーー。

……若しかして、今回の依頼もこうなる(・・・・)事を最初から知っていた?

そう云えば最初の方、今回の依頼で二人に聞いても濁されたし、知ってた可能性は大。

途端に俺は国木田さんに対して愛想の良い笑顔から一変、真顔で冷めた目付きで見つめた。


「……国木田さん、何を隠してるんです?」

「な、何がだ」

「先刻から全然目も合わせてくれないし、何かに責任とか感じてたりしてます?
……例えば今回の女装の件とか」


俺が何時もと違って声のトーンを下げて云えば漸く国木田さんの顔が上がり、目を見開き冷汗を浮かべている。


「久城、聞いてくれ。俺は……俺は、止めたのだ。太宰が企みそうな案件だったしな」

「…如何云う意味ですか?」

「今回のこの依頼は二人一組でドレスコードを着て、招宴へ潜入する事。だが、俺は知らなかったのだ。真逆『女装』してまで潜入するとは……」

「えっ?」

「ーーー此の依頼は、男女一組で無くても善かったのだ」


俺は、目を見開いた。今まで信じてきた物が一瞬にして覆された気分になった。

つまり。最初から………
太宰が俺に女装する様に仕向けたって事なのか?

先程から黙る太宰に目を向ければ、嬉しそうに俺の女装姿の写真を持っている。


「うふふ。お陰様で良い絵が撮れたよ蓮君。矢張り君は美しいねえ」


嗚呼、成る程。

此奴は詐欺師だ。俺は妙に納得した。

国木田さんが云う、此奴のする嫌がらせがどんなものなのか理解した。

俺は寝台から身体を下ろし国木田さんに見られている事など御構い無しに、ニコニコと写真をぶら下げる詐欺師の鳩尾に拳をめり込んでやった。

身体の痛みなど無かった。有るのは明確な殺意のみ。アドレナリンが大量に分泌されているのが身体で感じられる。

太宰は苦しそうに呻き、床に張り付いた。
そう簡単に立ち上がれないだろう。

一方の国木田さんは心底驚いた顔をしているので、俺は国木田さんに向き直り笑顔で云った。


「あんたも此奴と共犯だ国木田。
ーー俺を騙したも同然だろ?」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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作者名: | 作成日時:2016年6月12日 11時

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