・ ページ4
Aside
今日こそは向き合うそう決めて
寝室のドアノブを開けては閉めるを繰り返して
はや20分
もしもう私のご飯がなかったら
もしも呆れた紫耀君扉の向こうにいたら
そう思うだけで怖くて涙が止まらなかった
紫耀君に限ってそんなことない。分かってるけど怖い
泣いているとドアの向こうから紫耀君の優しい声がした
「これ、Aが前美味しいって言ってくれたなぁ」
そんな一言が微かに聞こえた
わたしはこの人を大切にしたいそう心から思った
自分勝手でごめんね、こんな私でも受け入れて
紫耀君と笑い合いたいその一心で扉を開けた
扉を開けると紫耀君がいて目をまん丸にして私を見ていた
その後、無意識なのかふと微笑んでくれた
涙が止まらなかった
私と紫耀君を隔てていた扉はあたかも簡単に開いて
寝室の扉だけじゃなくて心の扉も開けた
思わず紫耀君の胸に飛びつくと最初は驚いた様子だけど
すぐに優しく「わかってるよ」と言わんばかりに
無言で優しく頭を撫でてくれた
この一言を伝えたい、その一心で言葉を紡ごうとするけど
なんだか気持ちが先回りして言葉が上手く発せない
大きく息を吐いて
「わたし、紫耀君のご飯食べてもいい？」
「え、もちろんだよ。食べてくれてありがとう！」
そう私の目線に合わせて答えてくれた
その後、紫耀君は軽い足取りでキッチンへ行った
私は全身の力が抜けたようにふらっと椅子に座る
食卓を見ると暖かくて優しい色のした
綺麗な食事が並べられていた
すごい、食べたい
そう思うと同時に吐いてしまうこと
吐きたくなってしまうこと思い返す
恐らく私のご飯を盛ってくれてるであろう
紫耀君の後ろ姿を見つめる
これを吐きたくない。体に残したい
そう思うとまた涙が止まらなくなった
心配そうにキッチンから
戻ってきた紫耀君の眼差しが痛かった
もう、思っていることを全部伝えよう
全身全霊で思ってることを伝えた
部屋に沈黙が流れる
謝って部屋に戻ろうそう思った時
突然優しくこの雰囲気合わないほどの微笑みで
紫耀君が口を開いた
「今まで1度も
Aにご飯を食べて欲しいなんて思ったことないよ」
「また一緒に 笑い合いたかっただけなんだよ」
「こんな単純な理由じゃだめかなぁ」
「これじゃ伝わらないかな、俺の気持ち」
ううん、伝わるよ、むしろ伝わり過ぎたよ
大好きだなぁ、ほんと困るくらい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らむちゃ | 作成日時：2023年8月15日 21時
