かわいいの定義 ページ15
紫耀side
横で静かに雑誌を読む彼女を
手元のスマホから視線を外して
すみずみまで見てみる
女の子らしいくっきりとした二重
凛とした綺麗な鼻筋
キスしたくなるぷっくりとした唇
雪のように真っ白な肌
誰もが羨む
そんな顔立ちの彼女は
自分の顔面に自信がないらしい
そして彼女は酷く写真を嫌う
そのせいでもう半年も同棲しているのに
彼女との２人で撮った写真は１枚もない
世の中のカップルはみんな手を繋いだりくっついて撮ったり
素直に言う”羨ましい”
この間のAの誕生日だって
プレゼント開けて喜んでくれたAが
あまりにも可愛いかったからスマホで１枚だけと思いボタンを押した瞬間
綺麗な瞳の大きな涙袋いっぱいに涙を貯めて訴えてきた彼女
「ねぇ、まさか撮ってる？」
「どーして嫌なことするの？」
『ほんとにごめんね』
『もう、そんなことしないよ』
『やくそく』
約束の印で結んだ小指
せっかくの誕生日を俺が無駄にしてしまった
彼女の嫌がることはできるだけしたくない
というか絶対したくない
でも明日はAと付き合って３年の記念日
明日こそ可愛くて愛おしくてたまらない彼女と写真が撮りたい
何が彼女の自信をなくすきっかけになったんだろう
俺は何をすれば暗いなにかの呪縛から救えるのだろうか
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作者名：らむちゃ | 作成日時：2023年8月15日 21時
