本当のお薬は？ ページ12
Aside
真っ暗な部屋に鳴り響く着信音
お願い、出て
『しょおくんいつ帰ってくるの』
「ごめんね、もう帰ってるからね、いい子で待っててね」
『分かったよ、いい子で待ってるね』
はやく帰ってきてほしい
今日はずっと一人ぼっちだったからはやく会いたい
なんでこんなに遅いの
私の気持ちって一方通行なのかな、いなくなってもわかんないのかもしれないし
あぁもう考えても考えても分かんないことばかり
苦しい、苦しい、もう薬飲もうかな
でもこの前怒られたばっかなんだよな
もういいかな、飲みたい
泣きすぎて酸素の回らない頭でフラフラしながら歩く
寝室のしょおくんの棚には２人で一緒に作った薬箱がある
何粒飲めば寝れそうかな、そんなことを考えながら蓋を開けると
そうすると「がんばろうね」しょおくんらしい字でその一言だけ書いてあった
こんなの飲めるわけ無いじゃん、馬鹿なんじゃないのしょおくん
薬を握りしめてその場で泣き潰れる、飲みたいけど飲めない
震える手を引き寄せてそっと抱きしめてくれるのは
他の誰でもないしょおくんで
「我慢できたの、えらいよ、えらいよ、ほんとに」
「ごめんね、遅かったね」
『ホントだよぉー』
首筋に顔を埋めると頬に金のピアスが当たって気持ちい
「なんかあったの？」
頭を撫でながら
優しく声をかけてくれた
この手好きだなぁ
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作者名：らむちゃ | 作成日時：2023年8月15日 21時
