295*ストップ ページ45
その日の部長は、ずっと私に甘い言葉を吹き込んだ。
好きだよ。
かわいいな。
綺麗だな。
ゆるゆると撫でて唇で触れて。
私はずっとニコニコしながら部長にくっついていた。
好きな人に、この人だと決めた人に褒められて愛を紡がれて、とても温かかった。
.
.
.
少し早めに出ると言った部長と、時間をずらして家を出る。
いつもの光景。
家を出ようとしたタイミングで部長からカフェでエスプレッソを買ってきて欲しいと連絡が入る。
カフェでオーダーの為に並ぶと、
『あ、月見さん、おはようございます』
と、声を掛けてきた私の前の人物は加藤くんだった。
「おはよう。早いね」
加藤『月見さんこそ(笑)』
「ああ、私は会社と自宅が目と鼻の先だから」
加藤『僕はいつもより早く目が覚めてしまったので、早起きは三文の得・・・ってことで、朝からご褒美です(笑)』
「そっか、普段はベンダーコーナーのコーヒーだもんね」
加藤『そうなんです！』
.
エスプレッソとティーラテを注文した私に加藤くんが首を傾げるので、さっき部長に頼まれたことを説明する。
加藤『月見さん、最近ホントに綺麗になりましたよね』
昨日の部長と同じことを言われる。
「そうかな？全然自覚無いんだけど」
加藤『そうですよ。しかもつやつやしてる。
オレじゃない、他の誰かのせいで艶っぽくてキラキラしてるんだと思うと何か悔しいです』
「え？」
あ、しまった。
今までスルーしてきてたのに、反応してしまった。
加藤『悔しいですよ』
加藤くんは唇を噛んでもう一度同じことを言う。
真っ直ぐに向けられた視線は誤魔化せない。
「昨日、加藤くんと同じこと言ってた。
・・・嬉しいよね」
そう言ってエントランスをパスするも、運悪く目の前で閉まるエレベーターの扉。
加藤『すみません、今更何かを求めたいワケじゃないんです。
でも、ずっと気付いてない振りしてスルーされ続けたから』
「そっか」
応えるつもりなんて無い。
だから流す。
エレベーター待ちの人が増えてきたこともあり、多くを語らない。
それはエレベーターを降りてからも同じ。
はっきりと言葉にされた訳じゃないから、何も言わない。
すれ違う社員と挨拶を交わして、執務室の前に差し掛かった瞬間に、
『部長が好きです』
という台詞が聞こえてきて立ち止まる。
《295*ストップ》
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 352人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さいか(彩)(プロフ) - 結愛さん» 全く気付いておりませんでした(汗)。先程非公開チェックを外して公開致しました。ご報告ありがとうございます(*´ω`*) (2021年5月16日 23時) (
レス) id: e81d6acf86 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 291はどこに？ (2021年5月16日 22時) (レス) id: c0e21257c1 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(彩)(プロフ) - 奈穂さん» もんもんｗ おつかれさまでした。 部長のタキシード姿は、イメージとしてはひみあら翔潤かな？ｗ 寸止めでごめんなさい(笑)。 (2021年5月9日 23時) (レス) id: e81d6acf86 (このIDを非表示/違反報告)
奈穂(プロフ) - 部長のタキシード姿目に浮かぶ(参考資料ウエディングノアラシ＆ミュージックデイ)(〃∀〃)そして素敵な夜の部すんどめー！朝からモンモンしながら←仕事してきたよ！ (2021年5月9日 20時) (レス) id: e012292fb5 (このIDを非表示/違反報告)
奈穂(プロフ) - 朝から部長の想いをたくさん聞けて幸せです(はぁと)今日は打ち間違いなく送信ボタンを押すわ！ポチッとな (2021年4月29日 7時) (レス) id: e012292fb5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さいか(彩)
| 作成日時：2020年12月7日 1時
