午後はいつも空いてる

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「また明日来るから」

連絡して1ヶ月が経つ。
こんなのあり得ない。
だって、好きな人だもん。そう考えながら、今日も働く。
いつも彼が活躍してるのをテレビ越しで見ているだけ。ただのファン。というか、同級生なだけであって、彼とは余り話したことがない。同じクラスになった事は一度だけ。その時が一番話した時期だ。

「プリンスさん、今日も頑張ってるね」
なんて、独り言を言う。もう、どうしようもない。



明日くるのかな？来ないかな？

楽しみなんだけどな。

『藍川さん、お客様きたから』
「あっ。はい。わかりました」

雨降りの中、家族が来た。可愛い…。子供は大好きだ。将来、保育士さんになりたいとよく喋ってたけど、大学に入り、現在は喫茶店の店員。
彼氏？いないのだ。彼氏いない＝年齢である。
正しく、男慣れしてない。
けど、彼は違う。私の事をちゃんと理解してくれているのだ。そこは、心から感謝している。
けど、来ない。いつもの席が空いている。

「来ないんだなぁ…」


時計の針が午後8時が過ぎた。ディナータイムという時間がやって来た。そして、いつもより忙しい。こんなのはじめてだ。
店長も先輩もせっせとモノを運んだりしている。

「(いつもの席、空いてるのにさぁ…)」
「馬鹿ヤロウっ…」
なんて、心の底から思ってしまった。


「有り難うございました」
最後のお客様が帰った。
来なかった。来る約束してたのに来なかった。

「私も帰る準備しないと」
そう思った矢先、扉が開いた。

「いらっしゃいませ。今日はもう…」
「コーヒーを一つ下さい。約束守ったよ」
「？！連絡してよっ！」


また、好きになってしまった。

顔赤いのバレてない？？


まってよ、心の準備させてよ。



夜は、まだ始まったばかり。

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