【刀剣乱舞】新米時の警官。壱。 (ページ47)

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肆拾陸ページ47

受け止めた刀を宙に飛ばし、それを手に取ると最小限の動きで黒沢殿の縄を斬る。

｢黒沢殿｣

｢し、新川……？｣

｢加州を｣

ゆっくりと割れ物を扱うように加州を黒沢殿に託す。恐る恐るといった様子で応じた黒沢殿の顔は、ひどく困惑しているようだった。

｢……おいお前ら、下がれ｣

何かを察したのか課長が皆を後ろに下がらせた。まだ拘束されている者も、自由になった者も、サッとその身を引く。

｢＿＿＿はっ……｣

荒く短く息を吐くと、ギンと目を開く。

刀を奪われて怯んだような様子を見せる敵と、その奥の敵を見据えて、刀を握っていた方の手を開く。

ゆっくり、ゆっくり刀が床に落ちていく。

その間に十手を構える。

からん、と刀が床と触れ合う音が聞こえた瞬間に床を蹴った。

一瞬の間に近くに接近してみせて、その懐を狙う。

振るった十手が鈍い音をたて、薄暗い空間の中鋭く銀色の光を放つ。

呻きながら倒れ、煙を撒きながら消えていく奴を飛び越え、奥の奴を標的にする。

大きく降り下ろし、また次の標的をこの目で捉える。

誰だ。加州を狙う輩は。

もう二度と、拙者はあの気持ちを味わいたくはない。起こさせはしない。

私は、

｢全て守りきると誓ったのだ!!｣

＊

『……ひっく……うっ、うう…加州さん……皆ぁ…』

『……すまない。本当に…申し訳ないことを…』

自宅に戻り、ひっそりと顕現の技を使った。そしてあの経緯を顕現した刀に話した。

件の “先輩” が “片付けた” 本丸は、一振りの刀だけ破壊されずに保護された。拙者によって。

その刀の名前は五虎退。短剣。

練度は低めで、傷ついていた。

タンスに入っていたのは、加州達が守っていたというのと、あの審神者が五虎退の存在ごと忘れていたからだろう。

『僕……ひっく、これから……うぁ、どうすれば……っ』

泣き止まない五虎退になんと言葉をかければいいのか。

五虎退の仲間を守れなかった拙者には、どんな言葉も無意味に思えた。どんな言動も、罪滅ぼしには決してならないのだ。

そうだとしても。

『僕は……っ』

『五虎退』

『……？』

『これからは、拙者と共に居てはくれぬか。お主のことを、二度と悲しませないと誓う。何があろうと、お主の大切なものを守りきると。

だから五虎退、お主に……誓わせてくれ』

彼は戸惑って、鼻を啜って、暫し考え込んで、小さく頷いた。