【刀剣乱舞】新米時の警官。壱。 (ページ41)

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肆拾ページ41

取り敢えず普通の客のフリをするところからだ。顔が布で隠れるように角度に気にしながら、商品として並べられている刀達を品定めするように眺める……と暴走する可能性がある為、お守り等の便利な道具を眺める。

それにしても、ここの品物はやたら＿＿＿

｢姉さん、どちらからいらっしゃいなすって？｣

｢どこって、ただの名の無い本丸からさ｣

｢へェ。じゃあ、審神者サマで？｣

｢まぁそんなところだねェ｣

疑問に思っていた最中に声を掛けられ一瞬焦ったが、それらしい答えを返し内心ホッとする。チラ、と暗闇に目をやるが、やはり向こう側の表情は伺えない。

｢怖れ多い質問をさせてェいただいても？｣

｢あァ、なんだい？｣

｢姉さんはさぞ多くの刀剣を揃えていらっしゃいそうだァ。きっともう全種類の刀剣を集められたのだろうと思うんだが｣

｢……中々いい目をしているねェ。だが、残念だが全部は揃っちゃあいない｣

｢意外だなァ。本当かい？｣

｢……あァ。まだ太刀辺りが、ねェ｣

｢そうかィ｣

妙な質問をしてくる奴だ、と心の内にまた疑問を浮上させる。相手も拙者と同様に探りを入れているのであろうが、ソレが何故なのかがイマイチ思い浮かばない。

この客の質はいかなるものかと、拙者を品定めしているのだろうか。いや、質問の内容からしてそうとは思えない。ではただのご機嫌取りか？だとしたらもっと大袈裟にゴマをするはずだ。

答えが見つからず口元を固く締めているときだった。

｢ところで、姉さんよォ｣

｢……なんだい？｣

｢ここの商品は、闇市で並んでる代物のわりにゃあ案外とまぁ普通だなぁと思ったろ？｣

目を小さく見開く。

それは先程、奴が言う通り確かに拙者が思ったことだった。

｢まぁ……他の店に比べちゃあ、表の世と似たような品揃えだねェ｣

｢…そうかィ、なら姉さん｣

｢……？｣

｢ちょっと耳ィ貸していただきやす｣

にゅい、と暗闇の奥から麦色のカンカン帽を深く被った若い男が出てきて、耳打ちするのか顔を近づけた。

｢アンタ、唯の客じゃあないよなァ。何処の者だィ？｣

拙者の目が先程よりもずっと大きく見開かれた。

驚きの表情を布でしか隠せないまま、男の顔を見る。深く被られた帽子によって目元までは見えないが、その口元は微かに上がっている。

｢あァ、勘違いはしないでくれやァ。少なくとも、アンタの敵じゃあねェよ｣

笑いを含みながら、回りの店に聞こえないような小声で男はそう言った。