【刀剣乱舞】新米時の警官。壱。 (ページ39)

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参拾捌ページ39

｢くそっ……！｣

結局酒のせいで翌朝まで動けなかった。

二日酔いとやらで頭がガンガンと痛む中、今日も拙者を休ませようとする奴らから逃げるように署に来ていた。久しぶりに拙者の姿を見たからか、署の者達は驚いた様な顔でこちらを見てくる。

だが、その顔に内心どこか引っ掛かっていた。驚いた様な顔であることには違いないのだが、その顔は何かを疑問に思うような顔であったからだ。

その引っ掛かりを振り払うように頭を横に振り、課のある階にいち速く移動するため脚を動かす。

何故だか嫌な予感がした。

｢……これは｣

課の扉を開けるも、そこにいつものように同志達が座り仕事を行っている様子は無かった。部屋の電気は消されたまま、窓から差し込む光だけが光源となっていた。

拙者は考えた。

今日は皆急の休みとなったのではないか？いや、それでも休日返上してまで仕事に来る仕事馬鹿は拙者以外にも居る。そやつらがいないと言うならば、休日という解釈は少し違っているだろう。

まだ彼らは来ていないのではないか。いや、拙者自体今日はいつもより遅く来ている。いわば遅刻している。同じく遅刻している者が居たとしても、こんな一斉に遅刻することなんて到底あり得ない。

そもそも、拙者よりいつも先に定位置に居る黒沢殿がいないのだから＿＿＿

｢……そういえば｣

黒沢殿がここ最近小さいカレンダーを買ってきて、それに予定やらを書き込んで机の上に置いていた気がする。

自然と急ぎ足で黒沢殿の机の前まで移動する。

パソコンの影に隠れていたカレンダーを手に取り、黒沢殿本人の字で書かれた、予定と思われる文面をまじまじと見つめた。

｢……闇市征伐？｣

黒で書かれた今月の予定の中で、唯一赤で書かれたその予定が気になった。日程は二日前のもの。

ハッとして、机の上に乗っている印刷されたプリントを手に取る。そのプリントの中には、この状態を理解するために必要な情報が載っていた。

課の者全員総出での任務。お上からの命であるようだから、当然誰も断ることが出来ない。任務の日程はカレンダー通り二日前。二日前からここに来れていないとすれば、昨日のプリントというものはこの部屋に存在しないハズだ。

予感を確信に変える為、人の机を漁りに漁っていく。誰も彼も闇市征伐のプリントが机の上に置いてあり、昨日の日付のプリントはやはり存在しなかった。

唯一人、桜木殿の机の上を除いては。