【刀剣乱舞】新米時の警官。壱。 (ページ32)

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参拾壱ページ32

白黒刀side

「……」

気絶している主と三日月を抱え家へと急ぐ。主が苦しそうにしている姿を見ると、一刻も早く家に戻らねばという気持ちが募った。

昔からそうだ。主はいつもいつも無茶をする。幼いのに正義感だけで何も考えず突っ走った末、猫に引っ掻かれそうになったり、いじめっ子を捕まえようとして転倒して川に入ったり。高い場所に置いてあったものを取ろうとして私の上に落ちてきたり。

昔から何かと危なっかしくて心配になって、傍についていたくなった。

そう強く願っていた時期があった。

そして、その時初めて主が私に触れた。

きっと好奇心からだったのだろう。主にとってはもうずいぶんと前の話であろうし、その時はまだとても小さかった。今はもうお忘れであろう。

触れて、あの時私を無意識に顕現したことも。きっと覚えてなさらない。

主は生まれつき審神者の技を身に付けつけていた。技自体、元々生まれつきであることが多いが、本人はおろか周りの者もそのことに気づいていなかった。……いや。もしかしたら私の前の主は気づいていたのかもしれない。

いきなり刀が人の形に化けたのだ。さぞ怯えられるのだろう。

人の姿に初めてなったとき、そう思った。だが主はそんなことはなかった。不思議そうに見つめてくるも、その目は友好的でどこか嬉しそうだった。

何も問わず、恐れず、受け止めた。

その辺りは今も変わらない。

前の主が用事でいない間、庭で楽しそうに駆け回る主をただ見守っていた。刀の姿であろうと、人の姿であろうと、主の姿をずっと見守っていたのだ。

主が成長するにつれ、私を顕現する機会が少なくなっていった。主も多忙になり、あの家に来る機会も当然減ったからだ。

だから私は主の一番近くで主を守っていく。やっと主の隣に常に居れるようになった。

私はそのことを、とても誇りに思っているのだ。だからこそ＿＿＿

「＿＿＿石切丸！！」

主の命を、遂行してみせよう。