【刀剣乱舞】新米時の警官。壱。 (ページ27)

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弐拾陸ページ27

「……ここ、か」

指示された本丸に来たものの、何かの問題があるようには見えない。

今回の仕事のこの本丸は白本丸とされている。ただ、その白本丸という情報と審神者は若い女性ということしか重要なことが書かれていない。仕事としてあまり意味のあるものだとは思えない。これがお上から来たら、それはそれで大きな問題だ。

とにかく様子見をすればいいらしい。

「頼もう。警察の者だが」

「ああ、警察の者か。入れ」

玄関門に出てきてくれたのは近侍だと思われる三日月宗近。微笑み出迎えてくれるが、もしかして事前に来ることが知らされていたのだろうか？

そのまま彼の後に着いていくが、本当にすんなりと審神者の元へと案内してくれるのだろうか？

「ところで、お前の名は何という？」

「…？」

「あっはっは。いや、俺が個人的に知りたいだけさ」

「……新川。新川Aだ」

「新川Aか、ふむ。いい名だな」

いきなりこちらを向かれ戸惑ったが、名乗ると三日月は満足そうに前に向き直す。いきなりどうしたのだろうか。不思議ではあるが、やり取りとしては何も可笑しくない。

三日月は怪我をしているわけでもなく、疲れたような表情をしているわけでも、また敵意を見せているわけでもない。

ただ、白本丸なのに畑はいじられていないし馬の鳴き声は聞こえない。刀達の声も聞こえない。こんのすけの気配もしない。我が家は顕現した途端あんなにも騒がしかったというのに。

「さあ、ここだ」

その違和感に答えを出せぬまま、三日月の案内が終わってしまった。

「……失礼する」

襖を開けると、いきなり目の前に霧のようなモノが広がった。

「！？ぐっ、ゲホッケホッ」

部屋の中に充満していたのだ。なんで霧が？

口を押さえ咳き込んでいると、後ろから背中を押された。三日月に押されたのだろう。

倒れて部屋の中に入る。フラフラしながら立ち上がると、鉄臭い臭いが薫ってきた。霧が外に出ていき始めたからか？

「……けほっ、う"っ」

思考も危うくなってきた。この霧もしかして睡眠作用とかが入っているんじゃ＿＿＿

「…！！」

落ちていく意識の中、ようやく視界が晴れてきた。

目の前にいたのは、審神者と思われる女性。

…だが、彼女の姿は見るも無惨な状況だった。

“彼女だったもの”の辺りは赤く黒く染まっている。

＿＿＿何日経過しているんだ？何故彼女は…

わからないまま、意識は完全に途切れた。