【刀剣乱舞】新米時の警官。壱。 (ページ17)

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拾陸ページ17

「…はぁ」

駆けつけた応援の警官が、手際よく現場を片付けていく。山積みになった刀剣達も、割れ物のように慎重に運ばれていく。全て拙者がそうしろと指示したわけだが。

あの後この演練場の警官を見つけ問いただしたところ、アッサリ自分が悪に手を染めていることを吐いた。言った後手で口を押さえていた辺り、任意ではなかったのだろう。

奴の刀剣達は目覚めた後、皆虚ろな目はどこかに消え清々しい顔をしていた。が、やはり自分達が奴に利用され酷い目に合わされていたことはハッキリ覚えていたらしく、刀解を希望する者が多かった。逆に顕現していなかった刀剣は他の本丸に引き取り、という形もあり丸く収まった。

ただ一人、まだ目覚めない隣の鶴丸以外は。

「邪魔にならぬ場で休ませているとはいえ、こう長く気絶されると…」

課にこの一件報告しなければならないのだが、とため息をついた。

彼だけ強く打ってしまったのだろうか。そうならば申し訳ない。一応演練場に手入れ部屋はある為、多少の傷は問題ないと思ったのだが…

暫く経ち応援の警官も全て引き払った頃。小さな休憩所に移ったが、未だ演練場の施設の中に居た。窓から外の空の様子が窺える。日が沈みかかっていて、美しい茜色に染まっていた。

今日は残業になってしまうかもしれないが仕方ないだろう。鶴丸をここに置いて一人で帰る訳にもいくまい。

「……ん…」

窓から小さな声の方向に視線を動かすと、鶴丸がゆっくりその目を開いた。

「起きたか」

「……きみは…」

「これは申し遅れた。拙者は新川A。時の警察の者でござる」

「時の警察……ああ、あいつらが馬鹿にしていた奴らか」

あいつら、と言うとやはり闇市の者や今回の件の奴だろう。馬鹿にしても可笑しくはない、闇市についてはお上が重要視していない案件で、後回し後回しにされ手放し黙認状態なのだから。

「まぁいいか……きみが助けてくれたんだろ？まだ頭がボヤッとしてるけど覚えてる」

「助けた……とはいえ。警察の対応が遅れ貴殿達がその分苦しんでいたと考えると、そんな気にはなれない」

「……」

「…拙者に怒りをぶつけてくれても構わない。同じ人間として、代わりに奴の罪を拙者が償おうぞ」

そこまで言うと、鶴丸は拙者の胸ぐらを掴んだ。

拙者は静かに目を瞑る。

「……俺は」

それだけポツリと呟いた鶴丸。

痛みは感じず、怒号も一切聞こえない。

不思議に思い目を開けると、彼はポロポロと涙を流していた。