【刀剣乱舞】新米時の警官。壱。 (ページ16)

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拾伍ページ16

鶴丸が再び背後から切りかかってくる。

「そうだ！やれ！殺っちまえ！」

耳障りな奴の声が試合場に響く。

あと30cm。

「っ……！」

高笑う奴の声に紛れ、すぐ後ろから苦しそうな声が聞こえた。

あと10cmの白い彼の声。

「アーッハッハッハッハ！！」

＿＿＿今。

瞬間、切りかかってきた鶴丸の刀を避け、

腹に十手で一撃。

「なッ……！？」

「＿＿＿拙者がただのでくのぼうとでも思ったか？

甘いな、闇市の者よ」

……苦痛の顔で刀を手放した鶴丸を支え、そっと床に下ろす。

「つ、鶴丸くらいでイイ気になるな……！」

「鶴丸くらい、だと？」

目を細め、奴の姿を見る。その顔は混乱からか醜く歪んでいる。

後ろから気配がして十手を振るう。ゴッと鈍い音をたて、一期が腕を押さえた。どうやら腕に命中したようだ。都合がいい、そちらの腕を負傷したならもう戦えない。

全く、この刀剣男士達は殺気が感じられない故反応に遅れる。もちろん感じられないのは、全員が『意思をもって主人に尽くしている』のではなく『ただ術によって動かされている』、操り人形に過ぎないからだ。

グッと足を踏ん張り、思いきり宙に舞った。

ニィ、と笑った奴に合わせるように残り全員が切りかかってくる。

「スゥ……」

息を吸って、目を見開いた。

「一、」

小狐丸の首に一振り、

「二、」

大倶利の足に一振り、

「三、」

燭台切の腕に一振り、

「四」

蛍丸の腹に一振り。

一息の内に、敵全員が戦線崩壊となった。

「己の愚かさを知れ、罪人」

倒れていく彼らを全員抱え、静かに地に降りながら言った。

「な、な……っ」

「……」

自分が傷つけてしまった彼らの髪を撫でる。本当に申し訳ない。人間を助ける為に現世に降りたのに人間に虐げられ……売られ買われ、こきを使われ……。それら全て、許される行為ではない。

「……拙者の勝ちだ。拙者の利を頂くぞ」

懐から手錠を取りだし、そっと奴の手にかけた。