【刀剣乱舞】新米時の警官。壱。 (ページ12)

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拾壱ページ12

ぱち、と目が開く。いつもの天井。

はー……と、腫れぼったい目を擦る。いつの間にか泣いていたようだ。懐かしい夢だったけど、やはり悲しい。当たり前か。

のろのろと寝巻きを脱ぎ、いつもの服に着替える。着慣れたこの服は身に馴染んで落ち着く。帽子を被り、手入れした十手を定位置に忍ばせ、大事な刀を腰に差す。

全身を映す鏡で軽く髪を整え、少し姿勢を整える。相変わらず刀が美しく光輝き、つい見惚れてしまう。ハッとして鞄を掴んで靴を忙しなく履く。

玄関から一直線に開いた襖。一番奥の部屋に、ウチの刀剣達が見えた。

「……行って参る」

小さく手を振って家を後にした。

「黒沢殿」

「ん？ああ、新川か。おはよ」

カチカチと右手でマウスをクリックしながら、左手でコーヒーを持つ黒沢殿。クマがうっすら出来ているが、ちゃんと睡眠はとっているのだろうか。

「ほら、お前の朝食。どうせ今日も摂ってきてねぇんだろ」

「かたじけない」

渡されたサンドイッチを頬張りながら席に着く。本当はお握りなどの和食の方が好みなのだが、買っておいてもらった物にケチはつけられまい。もくもくと食べ進める。

ジーッと黒沢殿がこちらを見つめてきている。毎度のことだが。

「どうされた？」

「いや、こぼすなよ」

このやり取りも毎度毎度のことだったりする。

パソコンを起動せず、今日の任務の書類に目を通す。パラ、パラと分厚い書類を一枚一枚捲るのも毎日の日課である。

「相変わらず多いな、オイ」

「黒沢殿は？」

「今日は３枚。これでも多い方」

はぁ、と溜め息をつく黒沢殿を無視して任務の優先順位を決めていく。これは後回し、この位は問題ないだろう、これは大変だ……

「……って、あれ？お前これ以外内容書類作りじゃないか」

「……！」

「絶対誰かのと渡し間違えてるな、課長。俺が言っとくから、暇だろうしこれ行ってくればいいんじゃないか？」

「あいわかった」

ホチキスで纏められた書類を一枚だけ千切る。と同時にサンドイッチを口に詰め込み、鞄を置いて課を出る。

「詰まらせんなよー！」

最近、黒沢殿の母性を感じる。