こんにちは、ぼくのミライの相棒。【歌い手】【めいちゃん】 (ページ2)

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初夏。耳障りな蝉の鳴き声

それと共に機材や撮影で使ったであろう道具

お菓子の山。傍らにはエナジードリンクの缶。

部屋に響き渡るのは彼らの声

「「…はいせーーーの！！！にくちょもおおお！！！！」」

今日も彼らの姿を見て元気を分けてもらおう。

－数年前

『めいちゃんという名前で活動させていただいてます。今日はよろしくお願いします。』

「あ、よろしくお願いしますﾋﾂｷﾞです。」

今思えば我ながら淡白な挨拶をしてしまったな。
下手に出過ぎたかも。

10人ほどの活動者が集結し、小さなライブを行った。

自分のファンは恐らく1割にも満たないだろう。

中でも異様な雰囲気を醸し出してた彼女？彼？
なんかわからんけど変な人。

ボクより多分変な人。

その変な人はﾋﾂｷﾞと名乗った。

やっぱり変だった。

変って言うかとんでもなくかっこよかった。

小柄な体型からは想像できなかった程の大胆なモーション。

腹の奥底から吐き出す絶唱。

汗が滲む色の白い肌。

憧れのあの人と遜色ない歌声。

「…めいちゃんくん？君の番だよいってきな。」

聴き惚れてぼんやりしていた意識の中でﾋﾂｷﾞの声が聞こえる。
それもとても近くで。

『わ、すっ、すんません！いきます！！

ﾋﾂｷﾞさんかっこよかったっす！！！』

小走りでステージに向かいながら感想を述べた。

本当はもっと言いたいことあったけど
すぐにはまとまらなかった。

「ふっ、ありがとう。いってらっしゃい」

ほんのり低音の落ち着いた声で微笑んで見送ってくれた。

彼女がボクの成長の糧になる存在だと

当時は気づけなかった。

－－－－

『Geroさんpurple manやらないんすか？』

『purple man 引き継いでくれないか。やまちゃん』

『荷が重いです。無理です。』

『やってる俺も重い』

『あっはっはっは！！』

そんな大事な記憶を脳のどこか端っこにしまったまま

今を過ごしていた。

ピンポーン

インターホンが鳴る。さっき頼んでたUberかな

『やまちゃんトイレ行っちゃってるなぁ』

『あ、俺行きますよ』

「ｳｰﾊﾞｰｲｰﾂです。ﾒｲﾀﾞﾚﾝさん…合ってますか？」

『あ、ボクです合ってますー』

「…あれ、めいちゃんくん？あれ、ここ、あれ？」

『えと、どちら様ですか…』

「うーん…ﾋﾂｷﾞって覚えてるかな。」

聞き覚えのある名前。思い出せ。ボクの脳みその引き出し。

「久しぶりだね。めいちゃんくん」

。