Isolde (ページ16)

今日:76 hit、昨日:353 hit、合計:385,136 hit

- ページ16

Jaehyun side

ユタヒョンに呼ばれて競技を終わらせたあと、トイレに行こうとものすごい人混みを抜けてきた。そういやルデのことはジェノが連れていったみたいだけど大丈夫なんだろうか。

大手から中小、初めて聞いたような事務所まで色んなアイドルがいるここはもうもはや運動会なんかじゃない。それぞれの色のジャージを着たアイドルたちを掻き分けてトイレに入った。

JH「…？」

トイレを出て、ふたりがいるはずの控え室の方に向かおうとしたら反対側に見覚えのある後ろ姿が歩いていくのが見えた。遠くてよく分からなかったけど、俺と同じあの色のジャージに、長い黒髪はひとりしかいないんじゃないか。

どこのか分からないけど、一色のジャージの集団に囲まれて見えなくなっていったその後ろ姿を追いかける。これ、控え室と逆なんだけど。

「ぜんぜんイリチル先輩の控え室じゃない気が…」

『え、当たってるよ。もしかして俺方向音痴かな？』

「いや。わたしも方向音痴なので分からないです」

『そうなの？かわい〜』

うしろを付けてって聞いてみると、案外普通に会話しているルデ。俺たちと話すときみたいにしっかり受け答えする姿に、もしかして普通に仲良いのかとすら思えてきた。

「あの、スマホ、貸してもらえませんか？オッパに連絡したらさっきの場所まで来てくれると思うから、」

『大丈夫だって。俺が連絡しとくよ、ほら入って』

「じゃ、じゃあ今連絡してください！さすがに知らない方の控え室で待ってるなんてできないし、」

『いいから行こうよ〜』

オレンジの髪のヤンチャそうな人がそう言ってルデの手を掴んだのが見えた。途端ルデは仲良くない俺ですら分かるくらい嫌そうな顔をして距離をとって。

JH「きちんと断れてえらいね、ルデ」

「ぇ、あ、ジェヒョンさん、」

JH「後ろ姿見えて、着いてきたらこれだよ。何してたの？」

「イリチル先輩と仲良いって、控え室まで連れて行ってくれるって」

JH「初めて見たような人ばっかりだけど？」

「え？！」

俺の言葉を聞いてトタトタ走って目の前の人達から距離を取ったルデ。俺の横に並んでほんとだと思ったのに、と呟く頬を撫でるとこっちを見上げた。

JH「戻ろっか？お腹すいてたでしょ」

「あ、はい」

踵を返す俺についてくる足音。袖がクイッと引っ張られて後ろを向くと助けてくれて、ありがとうございますなんて頬のえくぼを出して恥ずかしそうに笑うルデがいた。