Fleur d' oranger【Ⅱ】 (ページ6)

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Kei side
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あれから大ちゃんは「分からない」の繰り返し。

「分からないねぇ、でもね大ちゃんにしか分からないんだよ…」

「でもだいちゃんのじゃない！」

「じゃあ今から大ちゃんのお腕さんに戻せるように高木先生に見てもらおうね。」

「…？」

あれ？
理解できてないかな。

たまにあるんだよね。パニックになると人が言ってることを理解できてなくなるの。

「ん…？」

「大ちゃんのお顔は俺の方向けててね。腕は高木の方に…」

「伊野尾くんありがとー」

もう大ちゃんを待ってても多分無理だから無理矢理にでも検査をしようとする。

「じゃあ大貴くん、腕にゼリーつけるからね。気持ち悪いかも。」

そういった高木の言葉には返事をせずに反対の手で俺の白衣の裾を掴んだ。

「ぁ… どろどろ…」

「気持ち悪いかなー？大丈夫だよ。痛くないからね。」

「きもちわるっ…！」

「もうちょっとね… おあったあった。」

「高木どう？」

「ここが腱でしょ？切れてないね。3日後には抜糸できるよ。あとは…伊野尾くん次第かな。」

正直、このまま退院させたくない。

でももうこれ以上長期入院をしててもそんなに変わらないだろうな。

「うん。大ちゃん、そろそろお家に帰れるよ。」

パッと大ちゃんの顔が輝いたように見えた。

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