#家 ページ6
Hikaru side
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｢大ちゃーん、ちょっとトイレ行ってくるね！｣
｢はぁい｣
こりゃ聞いてなかったな…
絵を描きながらご機嫌な大ちゃんは俺が話してもどこかふわっとしていた。
｢ひかトイレにいるからね。なんかあったら呼んで？｣
｢ふふっ分かったぁ｣
ここまで言えば大丈夫だろう、と席を立つ。
山田の家は少し広め。
早く済ませて大ちゃんのとこに戻ろうと急いで個室に入ると、リビングの方からピーンポーンという機械音が響いた。
｢やば、｣
そう言った時にはもう遅かった。
｢大ちゃんでるねー、りょおすけ帰ってきたかなー｣
大ちゃんの声が聞こえる。
｢大ちゃん！！出ないで大丈夫だから！！！！｣
そう叫んだ声は聞こえなかったらしい。
｢ひか、ひかぁ、…りょうすけちがう！！｣
トイレから出て大ちゃんの傍に行くとインターホンの前で座り込んでいた。
｢大ちゃん、大丈夫だからね。リビングでまたお絵描きしてよっか？？｣
そう言いながら椅子に座らせる。
ただ、相変わらず玄関の前に宅配業者さんがいるみたいで。
何度もピンポーンという音が聞こえてくる。
大ちゃんの様子から少し話して山田じゃないと分かってパニックになってしまったのだと予想する。
そうなれば荷物を受け取らなければ…
｢ちょっとお荷物受け取ってくるね。大ちゃん？｣
｢わか、…ったぁ…｣
泣いている大ちゃんを1人にするのは少し不安ちなる。
でも、いつまでも宅配業者さんを待たせる訳にはいかない。
幸いにも、印鑑を押すだけで済むものだったので｢すいません…｣と謝りながら荷物を受け取る。
大ちゃんを1人にしなければ良かったと後悔するのはもう少し後だった。
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作者名：きゃらめるらて | 作成日時：2020年9月21日 22時
