Fleur d'oranger (ページ38)

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Le passé de Kei
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｢母さん、俺さ医者になりたいんだ。｣

｢…でも、｣

｢私大なら確実に学費は払えない。だから、“国立平成大”の医学部を目指そうと思う。｣

｢慧、本気なの？｣

｢もちろん本気だよ。俺は母さんみたいな人を救いたいんだ。だから精神科専攻。｣

｢母さん…頑張るから、慧のこと、、、苦労させちゃったから、、、｣

そこから勉強とバイト漬けの日々が始まった。

1年半後の入試に向けて必死に勉強をした。

前の高校と変わらない。

いつだって俺は1人で、助けを求めることなんてしなかった。

平成大に入ること。

それだけが俺の目標だった。

でも、その目標を叶えたあとに俺の幸せは散ることになったんだ…

それは入試の結果を見てから家に帰ってきたときに起きた。

母さんが家にいなかったのに、俺は大して気にも留めてなかった。

今思えばこれが不幸の始まり。

夜9時にかかってきた電話。

母さんだと思って出ると警察からだった。

「伊野尾さんですか？お母さんの状態が……！」

そこまで聞こえてから急いで病院まで向かった。

けど、間に合わなかった。

もう母さんは死んでたんだ。

なんで俺は母さんが家にいなかったことを不思議に思わなかったんだろう？

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