Fleur d'oranger (ページ17)

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#雨ページ17

Ryosuke side
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大ちゃんが雨が嫌いなのには理由がある。

それは出会ってすぐのこと

もう5年ほど前の話＿＿＿

当時、大ちゃんはお母さんから保護されて養護施設で生活していた。

その後、親族だった俺が引き取ることになって。

7歳だと聞かされていたけど、容姿も言動もとても7歳だと思えるような感じでもなく。
大ちゃんは終始、職員さんの後ろに隠れているだけだった。

7歳の子ならもっと好奇心旺盛なのではないのか、とか人見知りなだけなのか、とか色々考えたけど

大ちゃんは精神的な負荷に耐えられなくなって心が悲鳴をあげているんだって職員さんから聞かされた。

大ちゃんを養護施設から引き取って帰ってきた日も雨だった。

｢大貴くん？俺と一緒にお家に帰ろうね。｣

｢………｣

細い腕を引いて車に乗せる。

雨の中車を走らせて俺の家まで帰る途中も話しかけてみたけど、何に関しても大ちゃんは無関心。

リビングに連れて行って、温かい飲み物でも用意しようかなぁと思っていたところで大ちゃんはやっと一言だけ俺に向かって話かけてくれた。

｢だいちゃん、ここあのみたい。｣

ただ一言だけ。
でも、何に関しても無関心だった大ちゃんがそう声を発してくれたことが俺にとってはたまらなくうれしかった。

｢今、準備するね。｣

そう言ってココアを作りにキッチンへ向かって。

異変に気がついたのはココアを持ってリビングに戻ったとき。

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