Fleur d'oranger (ページ15)

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Kei side
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『伊野ちゃん大貴くんがパニックになってた。過呼吸起こして対処中。早めに病室に来て。』

圭人からの連絡。

大ちゃんがパニックになったのは多分、病室に知ってる人が誰も居なかったから。

圭人ともはじめましてだし。

そのまま急いで大ちゃんの病室に向かう。

過呼吸を起こすのも初めてではない。

入院してから精神的に不安定になると過呼吸になるのが癖になってるからそれも治さなきゃな…

ただ今回は左手首を縫ってるし、パニックになってから更に傷が増えるかもしれない。

「圭人！ごめん遅くなった。代わるよ。」

「ありがと。……大丈夫だからね。あ、伊野ちゃんが来たよー！」

圭人から代わってもらって大ちゃんの隣に座る。

「い、…のちゃぁ、、ひっ…、、」

「ん、大ちゃん。ぎゅってしてみよっか？」

大ちゃんが不安定になったらハグが一番。

抱きしめていると落ち着いたのか、俺の背中に腕を回してくれる。

「いのちゃぁ…こわ、かったぁ…！！」

「なになにどーしたの？」

「りょうすけ、いないし、ひかくんもいないの！」

「ああ、涼介も光もそろそろ来るよ。ごめんなぁ心配かけちゃって。」

「ちゃんと、くる…？」

「うん。昨日、入院してからお洋服取りにお家に帰ったの。」

「うん。」

「それで今日は涼介も光もお仕事行ってから来るんだって。」

「いのちゃんも一緒に待ってくれる？」

「うん。一緒にここで待ってようね。」

怖くて、自分では何も分からないから余計に不安にさせちゃって。

そんな大ちゃんが恐怖から少しでも逃れられるように一緒にここで過ごすことを約束する。

トランプやらボードゲームやらを出してきて一緒に遊べば、大ちゃんはいつの間にか笑顔になっていた。

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