Fleur d'oranger (ページ12)

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Ryosuke side
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｢伊野尾ちゃんからも、？｣

｢うん。大ちゃんのことなんだけど、1回入院した方がいいと思うんだ。｣

｢そっか…｣

｢大ちゃんね、運ばれてきたときに“ごめんなさい”ってずっと言ってたの。きっとお母さんのこと思い出しちゃったんじゃないかな。おまけにパニックになっちゃって薬で眠らせる以外に落ち着かせる方法もなくて…｣

｢あともうちょっとで大ちゃんが捨てられた日が来るの。多分思い出してるんだと思う。｣

｢なんか引き金になるものがあるのかな…｣

｢それは俺には分かんない。｣

大ちゃんを守るって言ったって俺には知らない事のが多い。

そもそも捨てられた理由だって『母親からの虐.待』とだけ聞かされて。
詳しいことは何も聞かされていなかった。

「大ちゃんがパニック起こす前に宅配業者が来たって光が言ってた。それが原因かもしれない。」

「宅配業者が…？」

俺にはさっぱり分からない。

「例えば、その人の声とか顔がお母さんに似ていたとか。」

「それはあるかもしれない。」

確かに、俺は光くんから話を聞いただけで大ちゃんの話は全然聞いていなかった。

「大ちゃんが起きたら聞いてみる。だから、伊野尾ちゃんも…」

「分かってるよ。俺も同席するね。」

その日は大ちゃんの服を取りに家に戻り、明日からお見舞いに来るということを伝えて光くんと一緒に帰った。

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