Good Life...?

☆ ページ4

Daiki side






「大ちゃーん！体調悪くない？？」
伊野ちゃんが来てくれたみたい。

「大丈夫だよっ」
もう9時かぁ。ゆっくりと起き上がりながらそう答える。


久しぶりの院内学級。楽しみだけど、不安もある。
そもそも俺、中学の勉強も終わってないし。

「ねえねえ伊野ちゃん、薮先生元気かなぁ？」

「やぶぅは多分元気だよー」

院内学級までの少しの廊下も今日はちょっと長めに感じた。





けど、途中にある小児科病棟。小さな子が入院するそこは子どもを心配する親も多いわけで。


俺には優しくしてくれるお母さんも、名前を呼んでくれるお父さんだっていない。


「お母さん…」

伊野ちゃんに聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。








.
Kei side





「お母さん…」


大ちゃんの声。小さいけど確かにそう言っていた。お母さんにも、再婚相手のお父さんにも相手にしてもらえない。

辛いのに限界ギリギリまで溜め込んでて爆発させちゃうのが大ちゃんだから。
限界のラインを見極めるのも大切なの。

「大ちゃん？辛くなっちゃった？お部屋に帰ろうか？」


静かに涙を流してる大ちゃんに声をかける。


「ﾋｯｸ、ううん、やぶせんせのとこ、いくから、、！」





楽しみにしてたもんね。行きたいよね。


「…そっかそっか、泣いてたら辛くなっちゃうよ？」


「ん、、、ﾋｯｸ、、、、」




なんで大ちゃんのお母さんは息子が病気なのに放っておけるの…！！





そんな気持ちを悟られないように、大分落ち着いてきた大ちゃんと手を繋ぎながら院内学級に向かってゆっくりと歩き出した。

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