君に愛の衝撃を！【d!】 (ページ10)

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読めない男ページ10

教会の外はいつも赤い薔薇や綺麗な花で囲まれている。美しいはずの景色だが今日はどこか造花がこちらを見定めているような嫌な感じがする。
木でできた重々しい扉をノックしてゆっくりと開いた。
木がぎいっときしむ音がして、中が見える。
そこには色とりどりのステンドグラスの光を受けて、膝を付き、手を合わせ神に祈りを捧げる一人の男がいた。

あまりにも神々しい光景に思わず足が止まる。
いつの間にか世界が止まってしまったのではないか。と思うほど、呼吸のしかたも忘れたかのように彼のその姿に魅入っていた。

「……ん？あぁ、Aちゃん！来てくれたんやね。うれしいめぅ！」

『…お久しぶりです、オスマンさん』

こちらに気づき、人懐っこく寄ってきたのはここの牧師、オスマン。
今は人脈を使い、私達の内通者として活躍している。まだ私はオンラインでしか会ったことの無い、我々のボスと旧知の仲でもあるらしい。

「も〜…マンちゃんでええって言ってるのに…」

ぷりぷりと効果音がつきそうなくらいにほっぺを膨らませて怒るその姿は男とは思えない。

『それで？怪盗団の中でも私だけを呼び出して…一体何を考えていらっしゃるので？』

「まぁまぁ、せっかく来てくれたんや。ゆっくりお話するめぅ！お茶請けもあるみたいやし…」

横を通り過ぎたオスマンの手には鞄の中にあったはずの林檎2つがあった。
…いつの間に

『…はぁ。林檎は私が剝きますよ。ナイフを貸していただけませんか？』

「そうこなくっちゃ。キッチンはこっちやで、林檎にあう紅茶いれてあげるめぅ！」

『どうも』

キッチンに案内され、ナイフを使い丁寧に林檎を剥く。何故か腹が立ったので全部うさぎ林檎にしてやった。白い皿に適当に盛り付け、誘導されるがままに席についた。

『で、わざわざモールス信号使って呼び出してまで…何のご用事ですか』

「じゃあ、早速本題な。」

これ。と言ってテーブルに出されたのは…
カセットテープ…？

「君達の世の中を変えるイタズラにボスは大変お喜びめぅ。でもまだまだ足りない。って事でこの中に次のターゲットにするべき建物の司令が入ってるんや。「これはA。君に託す、皆で聞いてくれ。」との事」

そんな大役を私に…？
手と背中に汗が滲む。

「まぁ、そんな緊張せんでも大丈夫やで。グルちゃん、こういうの一回やってみたかったんやって」

そんなのありなのか？？？？？

「でも、もう１つAちゃんを呼んだ理由があるんよ」