君に愛の衝撃を！【d!】 (ページ45)

今日:1 hit、昨日:40 hit、合計:4,785 hit

選んだのは…桃ページ45

何時もの予告時間。針が頂点を指すその瞬間。
視界が真っ白になる。
煙たい白に少し咳き込んでいれば、「ごめんな」と綺麗な声が耳に届く。
何者かに抱きかかえられて、ふわっと浮いた。ぎゅっと瞑っていた目を開けると、綺麗な夜空とピンク色のまあるい瞳。

「こんばんわぁ。将来のお嫁さんを攫いに来ましたぁ〜」

雑面の下でにぱっと笑う彼は私を軽々とお姫様抱っこしたまま窓から逃げ出す。

『…随分と気が早いね』

「…童貞に夢くらいみさせてや」

しょぼんと落ち込む彼の顎に手を寄せて雑面の下の肌を撫でる。

『夢じゃなくしてあげるって言ったら？」

「…ほんまに？…え、ほんまに？」

『確認が長い！私をお嫁さんにするの？しないの？』

「する！…ここまで来てやっぱり冗談でしたは通じんぞ！」

『勿論。…パン屋さんのお嫁さんかぁ。』

「んふふ。これからは一緒にお店に立てるんやな。…あー…ほんま、夢みたいやわ。」

『ロボロ顔ゆるっゆるだけど』

「ええやろ今日くらい！最後の最後にAを掻っ攫えた幸せに浸らせてや！」

ぷくっと頬を膨らませて怒る彼が可愛らしくて少し笑いが込み上げる。

『ロボロ』

「んー？」

首元を引いて雑面を捲くれば驚いたような顔でこちらを見る。そのまま固まったままの彼の唇の端にキスを落とした。

『いつぞやの仕返し。』

んべ。と舌を出してからかうと顔を真っ赤にしてはくはくと声を出せていない。少したった後、漸く声が出たのか、小さい声で耳元で呟かれる。

「引き金引いたんはあんさんや。今晩はもう遅いから我慢したるけど…明日から覚えとき」

…ナメてかかった小さな狼に食べられる日も、そう遠くないのかも知れない。