黄色の確信犯 ページ38
ショッピくんと別れ、隣の彫刻や銅像の飾られた部屋に入ると、既に声がする。
「いくぜ！……それ！」
「…ナイスショットシャオロン！ほい追加！」
「おっしゃ任せとけよ！」
『楽しそうだね二人共〜何してんの？』
私が声をかけると嬉しそうにシャオロンとロボロが振り向く。二人の手にはクリームパイが用意されていた。
この後に起こりうる事を察し、さっと屈めば頭上をクリームパイが通過した。
『…危な。投げたのどっちよ。』
「ロボロやで！」「シャオロンや！」
お前がやれって言った。いや、投げたのはお前だと言い合いが始まる。
『あーもうはいはいどーどー。んで、これがロボロの秘策か。』
「せや！余った材料から作ったクリームパイ！いざとなったら武器にもなるで！」
『んでシャオロンは？』
「俺はそれ手伝ってた。投げるのは得意だしな！」
確かに。昔から野球をやっていたと言っていたし、肩とコントロールには自身があるのだろう。
部屋を見渡せば彫像の顔面にパイが綺麗にクリーンヒットしていた。
『おぉ…お見事』「あざっす！」
まだかろうじてパイの被害を受けていない彫像に近づき、私もイタズラを始めようとした。
「あれ…A。」
『ん？どした？』
「クリーム。顔についてんで、こっちおいで。」
『え、嘘。どこ』
シャオロンの呼びかけに応じて彼の方へ走っていく。
「ほら顔」
『え、どこ』
ぺたぺたと自身の顔を触ってもどこにもクリームの感触などない。
「こっち……あぁ違う」
『えぇ…？どこ？…なくない？』
「あーもう。動くなよ〜？」
ハンカチを取り出した彼の手が近付いて思わず目を瞑る。
数秒待っても何も感触がしない。
『…シャオロン？』
「お、やっとこっち見たな？」
目を開けるとニヤリと笑ったシャオロンがぺろ。と唇を舌で舐め取った。
「……ちょっと鈍感すぎんか？男の嘘にホイホイ着いてったらアカンよ？」
『…っ！』
恥ずかしさでぽかぽかとシャオロンを殴りながら羞恥で出た涙を拭う
「いやでも何もついてへんのに甘いなぁ…もっかいええよな……いてっ…ロボロぉ、そんな殴るか？」
「重罪も重罪やでお前…ったく…このバカは俺が連れてくわ。そっちのイタズラ頼むで！」
『うん…よろしくねロボロ…』
「あは〜じゃあね〜」
引きずられていくシャオロンを見送り、いよいよ自分のイタズラへと取り掛かった。
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作者名：一 | 作成日時：2022年12月14日 12時
