・ ページ34
「いた！良かった…急にいなくなるからびっくりしたよ…」
外道丸に跨ったひとらんさんが迎えに来てくれた。
「立てる？」
『…足ひねったみたいで…肩貸して頂けますか？』
「えっ！？大丈夫？…ちょっと揺れるね。」
ぐんと身体が持ち上げられる。所謂お姫様抱っこだ。
『え、ちょ、重いですから！』
「全然。…軽すぎるくらい。外道丸、先導頼む」
外道丸くんが羊に「行くぞ」と声をかけるようにして歩き出す。
ひとらんさんの腕の中、今日のことを謝った。
『申し訳ありません…依頼受けたのにちゃんとこなせなくて…』
「そんなことないよ？こうして羊もちゃんと戻ってきたし、Aちゃんも無事だったし。戻ったら応急処置しよっか、ちゃんと病院行ってね？」
『はい…』
「…良かったらさ、また来てくれないかな？外道丸も懐いたみたいだし…俺もAちゃんのこともっと知りたいんだ。…ダメ…かな？」
『……いえ、そんなことは…』
「そっか」
へにゃと微笑んだひとらんさんの耳は赤くて、こちらにも伝染した熱さは戻るまでどれくらいかかるだろうか。
『……って事があってね。いやぁマジ王子様が迎えに来てくれたと思ったわ。』
「おんそれは分かったけど、それとこれとは違う話ですよねぇ？」
『ごめんってロボロ〜ほっぺつつかないで〜』
捻った足は中々に重症だったらしく、来週までに治すには絶対安静と言われてしまった。それを皆に連絡したところ、家事の手伝いに来てくれたと言うわけだ。
「まぁでもAが無事でほんま良かったわ。夕飯何がいい？」
『トントンのカレーがいい！』「俺もそれがええ！」
「はいはい、ゾムは手伝ってな」
「Aさん、美術館の見取り図と警備配置なんですけど…」
『エミさん！ここは、まずここにポーション投げたいんだけど…停電前提かなぁ…』
「停電なら任せといてください。はいAさん。あーんして？」
『あー…ショッピくんありがとね。ん。チョコだ』
「そーいやA、風呂どうしてるん？」
『あ、コネシマ。気合で入ってるよ。足の包帯濡れないようにラップでぐるぐる巻きにして、足だけあげて浸かってる。』
「僕が手伝ったろか？」
「大先生それはないやろ…あ、予告状出しといたで！」
『ありがとシャオロン〜鬱は後で
騒がしい我が家が、とても心地良い。
カレーのいい匂いがして、どこか懐かしい気持ちになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一 | 作成日時：2022年12月14日 12時
