君に愛の衝撃を！【d!】 (ページ32)

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依頼・農場の手伝いページ32

今回のイタズラも大成功に終わり、警察と世論が私達の逃走経路についてあーでもないこーでもないと無意味な議論を交わす中。

私は今、オスマンさんと共に

農場に来ています。

「ひとら〜ん！連れてきたよ〜！」

「マンちゃん、道案内ありがとう。ようこそ！Aちゃん。ここが俺の農場だよ。」

目の間に広がったのは広大な芝生と赤い壁の畜舎。畜舎からは動物の鳴き声も聞こえる。

『とっても広いんですね…！ご依頼はお手伝いでしたけど、私で大丈夫ですか？』

そう、今日ひとらんさんの農場に来たのは萬屋として依頼を受けたから。依頼内容は【1日農場の仕事を手伝ってほしい】というもの。

「手順はしっかり教えるから安心して。…いっつも大変な環境にいるし、少しでも癒やしになればなと思ってね。」

『動物好きなので願ったり叶ったりですね。…ありがとうございます』

「ふふ。今日は俺もお手伝いに呼ばれてたから一緒に頑張るめぅ！」

「2人とも今日はよろしくね。作業着は着てきてもらったから、さっそくお手伝いしてもらおうかな。」

まず案内されたのは畜舎の中。

「じゃあマンちゃんは鶏の卵の回収。割れないようにコレに並べてね。」

「わかった〜！」

「じゃあAちゃんは…まず外道丸に挨拶しに行こうか。」

後をついていくと馬房でもぐもぐと野菜を食べている白馬がいた。

「この子が外道丸。俺の愛馬なんだ。」

ひとらんさんが近づくと外道丸と呼ばれたその馬は嬉しそうに顔を近づけて、撫でてくれと言わんばかりにアピールしていた。

ぽかんとしたままの私に気づいたのか、黒いくりくりとした目がこちらに向けられる。

「Aちゃん、少し手を出して貰ってもいい？手の甲が外道丸に向くように…そうそう。」

その言葉に従い、手を伸ばすと外道丸くんは顔を近づけてすんすんと匂いを嗅いでいる。

「馬は匂いで人を覚えるから、これが挨拶みたいなものかな。」

匂いを確認し終えたのか、外道丸くんが手に頭を擦り寄せてきた。

『わ…えと…』

「名前呼びながら首のあたり撫でてあげてみて？」

そぉっと手を首の方に滑らせる。

『…はじめまして、外道丸くん』

少しざらざらした手触りの毛を撫でてあげると、気持ちよさそうに目を細めた。

「このままブラッシングを頼んでもいいかな？」

『良いんですか？』

「うん！外道丸もAちゃんのことが気に入ったみたいだし。ね？」

外道丸くんがその通り、と返すように嬉しそうに嘶いた。