君に愛の衝撃を！【d!】 (ページ26)

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庭に出て、グルッペンさんを前にポーションの治験を開始する。

『では、まずはこちらから。俊敏のポーションです。』

くっと飲み干せば、口の中に爽やかな味が広がる。不味くないっていうのは良いかも。
効果を確かめるため、足を踏み出せば瞬く間に庭の端から端を移動していた。

「おぉ…！移動速度が上がるんだな！」

『追手から逃げるのには使えそうですね。じゃあこっちも…』

口に含んだのは跳躍のポーション。…マズイ。すりつぶした魚の干物を飲んでいるみたいだ。
足に力を込めてジャンプすると、屋根が見えた。地上が遠く見える。

『わわっ！』

不味い！着地の方法を考えていなかった。
どんどんと近くなっていく地面に怖くなり、ぎゅっと目をつぶる事しかできない。

ドサッと、鈍い音がした。

『痛った………くない？』

身体中に来るであろう痛みに耐えようとし、縮こまった体を起こそうとすると、低い声が上から降ってくる。

「焦った…それにしても軽いな。もう少しちゃんと飯を食べた方が良いゾ？」

グルッペンさんに抱えられていた。

『ご…ごめんなさい！すぐに降りますから離してください！』

「あっ！ちょっ……暴れるな！」

バタバタしながら降りて、落ち着いた後に話をする。グルッペンさん曰く、このままでは危ないと思い、とっさに落下地点へ入り受け止めたらしい。

「怪我は無いか？」

『えぇ、おかげさまで…ありがとうございます。』

「そうか、なら良かった。」

ふっと優しく笑って頭を撫でられた。
それにしても…

『…このポーション。危なすぎるな。』

運動神経の良いゾムやロボロなら使いこなせるかもしれないが、使うには危なすぎる。

「希釈すれば使える程度にはなるんじゃないか？」

『それだ！』

早速精製水などで希釈し、実験を繰り返す。
危なすぎるので下にはクッションを設置した。
何度か繰り返し、4・6の割合で薄めると1〜2m程度ふわりと飛ぶことができる便利なポーションが出来上がった！

『よし、これなら…！』

「…やはり君を怪盗団に引き入れたのは間違いでは無かったな。」

治験に付き合ってもらったグルッペンさんを見送ろうとして玄関に出ると、もう夕日が沈みそうなところだった。

『今日は、ありがとうございました。』

「あぁ！楽しかったゾ！……予告されていた明日のイタズラ。楽しみにしている。」

『…！任せてください！最高の娯楽をお届けします！』

不敵に笑った彼は、夕陽と共に去っていった。