君に愛の衝撃を！【d!】 (ページ24)

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藤色の情報通ページ24

材料が手に入りそうに無いと悟った私はとある人に電話をかけた。
ひとらんさんが言っていた、彼ならば…もしかするかもしれない。
黒電話をぎゅっと握りしめ、唾を飲み込む。正直自分からかける電話は苦手だ。緊張する。
何回か呼び出し音が鳴り、諦めようかと思ったその時

「…はい、どーも。」

低めの声が聞こえる。

『…初めまして、兄さん…で間違いないですか？』

「はい、俺ですねぇ。あぁ、ひとらんらんが言ってた怪盗団の白猫さんね。はいはい。ご要件をどうぞ。」

あっさりと依頼を受けてくれそうな返答に少し驚く。

『えっと…ポーションの材料に欲しい物があって…』

材料を全て言うと、メモをとっていたのかペンの音が止み、電話から声が聞こえた。

「…はいはい、大丈夫。全部まとめて送るから、せやな……2、3日くらいかかると思うけど。料金は荷物の中に振込先書いて入れておくからそこに振り込んでおいてな。」

『そんなに早く届くんですか？！』

驚いて大きな声が出てしまった。材料は私が聞いたことないものからどうやって入手するか分からないものばかりだったのに。

「まぁ、それがウチの売りなんでね。今後ともどうぞご贔屓にー。」

カシャン、と電話が切れた。
受話器を持ったまま少し放心する。

…凄い…人脈どうなってんだ。
というより材料のルートが気になりすぎる。
独自のルートで多くのものを届けてくれるという兄さん。…おそらく首を突っ込まない方が得策だと思い、疑念は忘れることにして、材料が届くまで文献を解読することに力を注ごうと思った。

2日後。大きなダンボールが家の前にぽつんと置いてあった。

『…本当に届いた…。』

ダンボールの中をラボで開けて見ると、確かに私が言った材料が全て揃っている。改めて恐ろしい。
この2日で大分解読も進んだことだし、少しずつポーション制作に取り掛かることにした。材料は貴重なものばかり。少しも無駄に出来ない。届いた請求金額を見て、飲んでいたお茶を吹き出すかと思った。
怪盗業はお金にはならない。今回の分はギリギリ今までの貯蓄から捻り出せたけれど、このままだと私の生活がままならなくなる。

生活のかかった緊張感の中、絶対に失敗の許されない実験が始まった。